ある日、エリック氏と
英語でこんな会話をしていた。
私 「それにしても今年は本当に厄年だな。
予定では今頃イギリスのはずだったのに、
未だにビザの申請すらままならないじゃないか。」
エリック 「まぁ、きっともう少しの辛抱ですよ。」
私 「この先もどうなるか分からないぞ。
コロナで引っ越しは延期、
ビザの取得は難航。
この先ビザが取れても
今度は英国までの道中に
飛行機が墜落して死ぬんじゃないか・・・。
移住なんて出来ない気がしてきたよ。」
エリック 「Oh, "touch wood!!"」
Touch wood?
(木に触れ?)
私 「それ、前にも何度かスコットランドで聞いたが、
どういう意味なんだ?」
エリック 「えぇと、説明しにくいんですが・・・・
誰かが"never"とか言った時に
木を触るんですよ。」
いや、全然分からんがな・・・。
エリックの拙い説明によると
スコットランドでは誰かが"never"などの
否定の言葉を発した時に、
木製の物に触る風習があるらしい。
と言っても
"never"なんてしょっちゅう使う単語だが
そのたびにスコットランド人は
木にしがみついていただろうか。
意味がさっぱり分からなかった私は
とりあえず木製の箱を触りながら
"I've never been to Denmark."
(私はデンマークに行ったことがない)
と真顔で唱えてみた。
エリック氏、大爆笑である。
エリック 「いえ、すみません、説明を大きく間違えました。」
私 「だろうな。私も正直意味が分からなかった。」
エリック 「えっと、"touch wood"というのは
誰かが不吉な予言をした時に
木に触るとその予言を覆せる
という迷信です。
まぁ、おまじないですね。」
あぁつまり、
誰かが縁起の悪いことを言ったら
木に触れと言うことか。
しかしこの一連のやり取りのせいか、
以降我が家では
誰かが「デンマーク」と言うたびに
木製品に触るという奇習ができた。
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ちなみにイギリスでは
誰かが調子に乗って
ポジティブすぎる予想をした時にも
「この素晴らしい予言が覆りませんように」
的な意味で木に触るそうです。