仄暗い壁の中から ３



壁の中からパイプを伝って聞こえて来る嫌な音に耐えかねて

セントラルヒーティングのシステムを一部切ってしまった我が家。

そのうち行きますと言っていた業者が待てど暮らせど来ない為

しばらく一部暖房が付けられず難儀したのだが

ようやく我が家のことを思い出してくれたのか２日程前に修理業者がやって来た。

生憎その時他に誰もいなかったのだが

ごちゃごちゃドイツ語で機械の説明をされても分からないため

とりあえずボイラー室に彼らを通し、あとはご自由に！と２階の自室に逃げ込んだ私。

その後は部屋でひとり仕事をしていたのだが、

しばらくして、ふと背後に人の気配を感じ、

不審に思って振り返ってみれば、なんと例の業者が私の後ろに立っていた。




怖いわ・・・・！！！！！





予想外の事態に反射的に身構える私と、暢気に

「すみません、セントラルヒーティングのスイッチを見せてください」

と言う業者。

いや、スイッチ位いくらでも見て頂いて結構だが

他人の部屋に入る前にはノックぐらいしてもらえないものか。

これまでも水道回りや雨戸の修理で何度か業者が来たことはあるが

流石のドイツでも彼らが許可なく２階に上がって来るのはマナー違反。

あまりに気味が悪かったので

この業者が一階に戻った後は自室に鍵をかけていたのだが

数十分して、今度は部屋のドアノブが突如がちゃがちゃと回された。



いや、だから、ノックしろや・・・・・！！！



あまりにイラッとしたため部屋の中から

「何ですか？」

と尋ねると「終わったので引き揚げます」とのこと。

それなら一階から叫んでくれればこちらから降りて行くが、

またしても勝手に自室に侵入（未遂）とは、

もはや通報されても文句は言えないレベルである。




その後肝心の壁の音について尋ねたところ

「原因はさっぱり分からないが、なんかいろいろいじっていたら音は止まった」

という大変有り難いお返事を頂いた。

まぁ何にせよ音が止まったならこれで一件落着。

これで我々には平穏な毎日が戻ってくるのだろう・・・・。




そう思ったのもつかの間、

翌日にはまた壁からの音が聞こえ始めたが

もはや直す気力もない我々である。




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ちなみに大家にこの業者の件で抗議したところ

「昔からうちが管理する建物は全部彼らに見てもらっているから、
彼らにとってのお宅は勝手知ったる我が家同然。
勝手に部屋に入っても別に可笑しなことなど何もない。」

という超次元的回答を頂いた。

いや、１００歩譲って住人不在ならそれも分かるが、

明らかに人がいる部屋に押し入るのはちょっとどうかと思う。




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