突然だが私の携帯はスマホではない。

じゃあガラケーかと問われると言葉の原義からして多分それも違うと思うのだが

最新機能など何一つ搭載されていない、文字通りメールと電話をする為だけの機械である。

ネットにも繋がっていなければ、ゲームの一つも入っていないので

せいぜいブログ用のネタを書きだして行くくらいしか暇つぶしとしての使い道もない。

個人的には電話機にそれ以上を求めていないので別に良いのだが

時には周りから早くスマホにしなよとアドバイスされる。



まぁ、買ったところで使いこなせない可能性大だしな・・・・・。




それにしても街を良く見渡すと、

最近は所謂歩きスマホとやらがかなり勢力を増して来たなと実感する。

電車の中でも、スーパーでも、なんなら食事中でも

ちょっとした隙間時間にスマホを取り出して

誰もがみんなあの小さなスクリーンを覗き込んでいる。

スマホを持たない人間には全く分からないが、

きっとあのスクリーンの向こう側には、何か素晴らしい世界が広がっているのだろう。




さて、先日横断歩道で信号が変わるのを待っていた時。

ここは反対側までたかだか6、7メートル程の細い道路なのだが、

ちょっと往来が激しいため「信号は目安」なドイツも流石に大人しく青信号を待っていた。

道路を挟んで反対側にはベビーカーを押した母親がいて

なにやらスマホを覗き込み笑っていたのだが

まぁ、赤信号だし、子供は爆睡しているし、と特に誰も気に留めていない。

さてここで今度はこの母親の横に

見るからにティーンですと言わんばかりの少年達がやってきた。

横断歩道を良い子で待つなどという不名誉に耐えられなかったのだろうか、


そこそこの頻度で通る車の間を、すり抜けるように走り出した少年達。

危ないな、と思っていた瞬間、今度はその横にいた母親が

スマホから全く目を離さないまま、のろのろと前に進み始めた。




お母さん、まだ赤!!!






恐らく少年達が走って行ったのを視界の端に捕えて、

信号が青になったのだと勘違いしたのだろう。

そしてスマホから目を離さないまま、未だ車が行き交う道路を横断し始めたのである。


慌てた周りの車は横断歩道前でブレーキ。

何人かの通行人が危ないぞ、と軽く叫んだが

どうやらイヤフォンをしていた母親はそれにも全く気付かず

若干空気が凍りついた横断歩道を、スマホ片手に悠々渡ってどこかへ消えた。




自分の命より、息子の命より、スマホかい・・・・・。





人様の価値観にケチを付けたくはないが、彼女が母親でなくて助かったと心底思った。