水泳、無心、コミュニティセンター |   EMA THE FROG

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水泳ですが、続けています。土日のみですが一回1時間半程度、平泳ぎとクロールで2キロくらい。最初は100メートル泳ぐだけで肩が上下するくらいしんどかったのに、だいぶ力が抜けてきたのでしょう、昨日は何と2キロをノンストップで。まあ逆に言えば、2キロノンストップで泳げるくらいにゆっくりな、ダルダルしたペースの平泳ぎ。グイッと一掻き、グオンと一蹴り、その後の、両手両足がピーンと伸びた一本の枝みたいな体勢で、ぴかりぷかりと漂う感じでボンヤリする。推進力が落ちてきて、あと一秒で沈み始めるというあたりで、思い出したようにまた一掻き、一蹴り、ピーン、ぷかりぷかり。

1時間と少しで目標の2キロをクリア。でも体力的にはまだまだ、もう2キロは泳げそうに思えるくらいに元気元気。精神的には?う~ん、もう嫌かな。決して嫌いじゃない水泳、幼き頃エンゼルスイミングスクールでバタフライから背泳ぎ、平泳ぎから自由形、100メートルメドレーでそこそこ良い記録を出していた頃の自分が、水色の水の中で思い出され……ない。何も思い出さない。泳いでいる間、僕はビックリするほど無心なのだ。1、2、3、4……と、今自分が何度目の25メートルを泳いでいるのかだけを機械的に数えながら、それは、11、12、13、14……そして80まで続いた。一掻き、一蹴り、ピーン、ぷかりぷかりで、80本。2キロ。

こんなダルダルした運動が健康やダイエットに効果的なのかは分からない。あるいは精神的な癒し、ストレス発散、脳内に散らばった記憶の整理、そういうものに対しても。ただ、決して嫌いじゃない水泳。2キロを泳いだ僕は迷いなくプールから上がってまっすぐ更衣室に行く。もっと泳いでいたいとは思わない。ただし、来週の土曜もまたここで同じことを繰り返すのを嫌だとは思わない。特に楽しみなのでもない。水の中に潜んでいた無心が、プールから出て僕にすがるようについてくる。まてよ、まてよ、もう少しここにいればいい。更衣室、受付を通り、エレベーターで1階まで、自転車の鍵をさして回したあたりで奴はやっと諦める。僕は奴に優しくはしない。無心である事に意義を見出したりはしない。だってそれって、単に何も考えてないだけだ。

土曜日、某バーで見たライブ。歌い手はMCの中で言った。「タイに旅行した時に会った幼稚園児達は、ただ僕を見ていました。分かりますか?純粋に、見ているんです。見るだけで何も考えない。評価しない見方。見るという行為そのものに集中している。それがいいなあと思って」

村上龍は『限りなく透明に近いブルー』の中で、リリィにこう言わせた。「赤ん坊のように全てを見ちゃダメよ。そんなことをしたら、すぐに頭が狂うわ」

ねえ。