忘備録として |   EMA THE FROG

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例えば君みたいに、ライティングとかデザインとかそういう仕事で成功を夢見る人間なんて、東京には本当に五万といる。もちろんこれは、それらで本気で喰ってく覚悟がある奴らの事だ。もし君がその覚悟すらできていないのだったら、残念だけど全くお話にならない。明確な目的意識を持って、かつプロフェッショナルなスキル・知識を備え、かつ「15分後にオフィスまで来れる?」なんて無茶な注文にだって血を吐いてでも対応する、それが求められる最低限のラインだ。そして、それら全てをクリアした人間の1割が成功するかしないか、東京っていうのはそんな厳しい世界だよ。9時出社の18時あがり?そんな勤務時間で働いているヤツなんていない。朝7時に出社して夜の11時過ぎまで働き、家に戻って残った仕事をこなしてから、3~4時間寝てまた出社。1日何も喰えないことだってしょちゅうさ。しかもさっきと同様、そこまでやっても成功出来るかどうかは分からない。仕事っていうのは、成功っていうのはそういう事なんだよ。さらに、成功を掴む以上にそれを維持することが難しい。売れてる芸能人や上場企業の上役たちが住むような高級マンションの出入りがどれだけ激しいか知ってるか?先月までは月100万以上の家賃を払っていた人間が、次の月にはボロいワンルームに引っ越さざるを得なくなる、そんな残酷な話も、まるで日常茶飯事だ。だから世間的には成功者だと思われている人の多くが、身を滅ぼすほど強烈な危機感を持ちながら毎日がんばってるんだ。君がイメージする成功がどんなものか、それは俺は知らない。でも、少なくともライティングやデザインを東京でやってくってのはそういう事なんだよ。それで成功するってのは、そういう事なんだ。

「下手な考え休むに似たり」という諺を知ってるか?覚悟がないのなら、むしろ考えない方がましって事だ。もしも考えるなら、具体的な考え方をしろ。東京のどこで働くのか、あるいは千葉なのか、家賃は幾らで、勤務地までの所要時間はどれくらいで、電車賃は?乗り換えは?時間帯別の込み具合は?周りにある施設は?子どもの教育機関は?スーパーやコンビニの立地は?ほら、住むとこひとつだけで考えるコトは無限にある。仕事そのものの事以外にたくさん考える事があるんだ。そういう具体的な思考をして初めて「考えた」と言える。君はどうだ?何を考えた?そういうのが面倒だと思うなら中途半端な事はせずに目の前の事だけに集中してる方がいい。覚悟がないのなら考える振りなんかしなくていい。しかし、いいかい、これが一番大切なんだが、君の幸せが何か、君にとっての成功とは何か、それを決めるのは他人じゃなく君自身なんだ。俺が言ったのは東京の、もしかしたら狭い業界内での現状だ。実際問題俺は毎日そういう環境で働いている。東京での仕事が厳しいのは事実だし、脱落して行く奴らは後を絶たない。だからって俺は君に東京の怖さを教えたいわけじゃない。ただ、事実を言ったまでの事だ。俺は今東京で働いていて、君の話から察するに、君の求めるものはきっと東京にある。いやむしろ、東京には全てがある。だから説明したまでのことなんだ。君自身から「東京で働きたい」なんて言葉は聞いてないけど、正直な話、君の求めているものは残念ながら地方にはないんだよ。そして君はもうすぐ30歳だろ?正直に言うよ、正直に言って「今まで何をしてたんだ?」っていう話なんだ。きっと君はこう言われる、「君はこの10年間ずっと寝てたのか?」って。18歳から社会でもまれてるヤツに、30歳から追いつくのは至難の業だ。だけど、君の人生において、今が一番のチャンスなのも事実だ。だって、5年10年経った時、つまり君が35歳や40歳になった時、今より挑戦が難しくなってる事は明白だからな。遅すぎる事なんてない、なんて綺麗事を言うつもりはない。でも、始めなければどこにもたどり着かない。これは事実だ。

俺は君の仕事も見た事がないし、レベルがどれほどのなのかも一切知らない。もしかしたらフラッとやってきて素晴らしい仕事をする能力があるのかもしれない。だから今日の俺の話は全部俺のひとりごとみたいなもんで、君自身にはほとんど言及していない。現状と、最低限のレベルを教えたまでだ。東京で働くという前提を勝手に立ててね。選ぶのは、考えるのは、あるいは考えないのは、全て君次第だ。まずは目的を知る事だ。どうなりたいのか、なにをしたいのか。それを「具体的に」考える事がスタートだ。結果、東京に出るのか出ないのか、あるいは別のどこかで暮らすのか、そんな事は大した問題じゃない。君が君の幸せ・成功を知り、それを実現できたのならば、それは「勝ち」だ。誰が何と言おうと、それは素晴らしい人生なんだ。東京で働いてるから偉いとか、地方だから偉くないとかそういう問題じゃない。全ては君が、あるいは君の家族がどう思うかなんだよ。俺も千葉からこっちに来て、半年くらいで挫けそうになったんだ。戻ろうと思った。のんびりした千葉で、のんびり暮らしたいと思ったんだ。でも、同級生たちが言うんだよ「お前は俺たちの夢だ」って。「いつまでも上を目指して頑張ってくれよ」って。だから毎日クタクタになりながら働いてる。大変だけど、自分で決めた事だから仕方ない。俺の挑戦は30代の後半っていう時期に始まった。今の君より10年も後の事だ。だから苦労した。そして、今の事業も大化けはしないだろうと客観的には思ってる。遅かったんだ。もっと早く始めていれば、あるいは大化けしたかもしれないがね。とにかく、でも、小化けくらいはしたいと思ってる。できると思うんだ。頑張ってさ。とにかく、繰り返すけど、まずは考える事だ。あるいは考えない事だ。自分の人生を見る事だ。そこからだよ。全てはそこからで、それが全てさ……



防備録的に。先日知り合いのおじさんから頂いた、ありがたいお言葉をあらためて。口調も、言葉自体も、正確な引用ではないです(脚色しまくりです。そもそも敬語で話してくれるし)。でも、僕はこういう風に理解した、という内容を、僕なりに、起こしてみたまでです。彼の話はいちいちもっとも。でも同時に、彼は僕とは違う考え方をする人なんだ、という事も感じた。何れにせよ、とてもいいヒントをいただけた。客観的な視点、それを大切に、今年30歳だし、もういい加減大人だし、考えていこう。あるいは、考えないでいこう。