前回からの続きです。

食事を終えたところで、
心の中でずっと引っかかっていた
疑問を思い切って口にしました![]()
ねえ、もしかして聞き間違いかもしれないけど、
さっきの男の人、
渋谷君のこと違う名前で呼んでなかった?
私の言葉に渋谷君は一瞬固まり、
そしてふっと息を吐いて
神妙な面持ちで答えました![]()
ごめん、
実はずっと言おうと思っていたんだけど…
…本当の名前は友也なんだ。
え?
私の頭は一瞬で真っ白に。
言っている意味が理解できませんでした。
私に伝えた名前が偽名だった?
どういうこと?
友樹っていうのは…
…俺がボクシングしてた時の
リングネームなんだ。
ボクシング?リングネーム?
彼は苦笑いしながら続けます。
軽い気持ちで名乗っちゃったんだよね。
普段は本名の友也なんだけど、
なんとなく友樹って使ってて…
…そのまま言いそびれてた。
悪気はなかったんだけど、ごめん。
軽い気持ち――
そう言われても、
私には受け止めきれない言葉でした。
彼と付き合うことを決めたのは、
彼の誠実さに魅かれたから。
それなのに、
名前という基本的な部分ですら
最初から嘘をつかれていたなんて……。
嘘をついてたってこと?
と少し鋭い声で聞き返すと、
彼は慌てて首を横に振ります。
違う、
嘘をつこうと思ったわけじゃなくて…
…最初は軽いノリで、
でも仲良くなるうちに言い出せなくなって。
信じられないかもしれないけど、
なろちゃんのことは本気だよ!
その言葉に嘘はなさそうだったけれど、
私の胸の中には何とも言えない
モヤモヤが広がっていきます。
名前という基本中の基本を
偽った状態で始まった関係。
こんなことがあって、
これから彼のことを
どれだけ信じられるのだろう?
渋谷君は真剣な目で
私を見つめていました。
その目の奥には何かを
訴えるような必死さが感じられます。
私はふと、
気になっていたことを確認しようと思いました。
