先日見に行った回廊とデコイ、感想を書いていなかったので書こう。小林賢太郎初監督作品。賢太郎さんといえば百色眼鏡。林檎ちゃんがいなければ出会うのがもっと遅かったかもしれない、ラーメンズ・小林賢太郎…



賢太郎さんは表舞台を引退してしまったので、完全に裏方になられました。正直賢太郎さんが出ないならもういいかなぁとか思っちゃってたんですが(ごめんて)福岡皮切りと知りそれはやっぱり観にいきたい!とチケットを取りました。



10個にも満たないショートストーリーを集めたいわゆる短篇集なわけですが、映画の大きな軸として「回廊」と「デコイ」があります(私デコイという単語を全く知りませんでした)。ひとつひとつのストーリーは実にくだらない。もしかしたら、これのどこが面白いの?って言われちゃう事もあるかも知れない。それくらいシンプル。でもシンプルなようで非常に複雑。現実的なようで非現実的。賢そうに見えておバカ。合理的に見えて非合理的。そういう意味では摩訶不思議なつくりなんですよね。私、賢太郎さんの作品の何が好きなのって言われても多分上手く答えられない。なんか好きとしか言えん。




賢太郎さんの作品って意味無さげに見えてめっちゃ深イイんですよね。で、それもコレ深いだろ~~~?!ってアピールするようなことは一切なく、ナレーションだったり登場人物だったりがポツリと、実にさりげなく提示してくる。もしかしたら私たちが感じる色々なものも深読みなのかも知れない。そんなこと思うなんて凄いですねぇ!とか監督に言われちゃうのかも知れない。そういうあまのじゃくさがあるわけです。



特に印象に残ったのは、「玉と婦人。」(なんじゃそら)。シュール界隈の中でもかなりシュールだったんじゃないか。設定から会話の流れ、登場人物の感情、日本語だけど全くついていけないかんじ。その中で賢太郎さんらしい言葉遊びもあってファンとしてはコレコレーー!!と心が高揚したりする部分もありながら、世にも奇妙な系の余韻をもって終わる。地上波で深夜とかに観たいな。なんやこれ!てなりそう。声出して笑ったのは「そばをください」。またくだらないことやってんなぁ…と思ったが容赦ないあのたたみかけ。最後は最早アクロバット。観客みんなの笑い声が聴けるのも映画館や舞台のいいところだ。私が行った翌日に監督が舞台挨拶に来ていた。そんな催し知らなかった。小林賢太郎のnote購読をちょっと前にやめてしまったので情報を追いきれなかった私が悪い。でも行けて良かった。