やっと観に行けました、THE FIRST SLAM DUNK。アニメも見たし漫画も読んだことあるけど言うほど思い入れがなくて(多分スポーツに疎いから)、そんな私でも開始五分で泣いてました。知人たち(男)に、泣く?ってきいたら「いやぁ?」って言ってたの何?強がり?こんなん絶対泣くやん。終始涙垂れ流してたよ私。


以下壮大なネタバレ含む。


私はキャラの名前とストーリーのおおよそがわかる程度の読者なのでその視点での感想を思いつくままに書いていくが、今回の脚本の良さは、誰でもない宮城リョータを主役にしたところにあると思う。私からすれば、最も印象の薄い彼。というのは、桜木も流川も赤木も三井もそれなりのエピソードが描かれていたように思う。でも宮城リョータはほとんどそういったものがなかった記憶(ファンの知人もそう言っていたので間違いない)。



当然彼がリストバンドを2つつけていたことなど覚えてもない。ファンですら今読み返して気づくという、当時の伏線が今になって回収される粋な演出がなされている。


私が最初に涙したのは、リョータの兄が船に乗って出発し、その後のシーンでリョータがリストバンドを2つ着けて「行ってくる」というシーン(からのオープニングの流れ)。リョータの兄へのコンプレックスからは一生逃れられない。なぜなら兄はもういないからである。兄へ吐いた最後の暴言と、それを最期にしてしまった自責の念が今後一生付きまとうわけです。今回(の映画の主題)こういうかんじね~~~~!!!ってそこで理解&胸震えました。


そんでそこからのウルトラカッコイイオープニング!!!ここで流れるのはThebirthdayであります。


今更言うこともないが、「Mステタトゥー事件」で急遽穴埋めしたミッシェルガンエレファントのチバユウスケが今やってるバンドです。

(チバさん、すっかりおじちゃんになられたけどこれはこれでウルトラカッコイイ)


1人ずつ線画で描かれていくこの演出。そして何よりカッコイイ出順。リョータ、三井、赤木、流川、桜木の順。五人揃うともう最強。何度も言うが、リョータがメインなところに意味がある。本来の出順の逆をいくところ-あえて脇を流川桜木がかためるところ-が鳥肌もんにカッコイイのです!!フューチャー!!(これ観るためだけにまた行きたい)


そしてこの山王戦をベースに、リョータのエピソードが挟まりながら映画は進んでいきます。個人的にはこのストーリー構成が素晴らしいと思った!単純に時系列で描くのでは絶対伝わらないよな。山王戦の試合の時系列の上にリョータの人生を重ねていく(そしてあのラストシーンよ··········)。だれこれ考えたの?やっぱ井上先生?流石としか言えませんね。


スラムダンクといえば数々の名言があるが、安西先生は言うことなすこと全て良い。というかそういったキーマンとして存在してる。ひとりひとりに「良さ」を伝えるあのシーン良かったですね·····そして桜木もいいこと言うんだ。「素人だから」とか「俺は今なんだよ」とか、しびれるものがありますね。


スラムダンクが人気なのって多分にこれがある。バスケやってなくても、思わず自分の人生においてグサッと刺さってくる言葉が多いのだ。それは言葉だけでなくて、それぞれが抱えるコンプレックスとか、どうしようもできない経歴とか性格とか、それを強がっているところとか信念とか、そういうものが一言で言うと「スポーツ精神」として描かれている。バスケ漫画なのにバスケやってない自分にリンクして思わず共感してしまうのはそういうところからだ。だからこの広告、観たあとにこそグッとくるものがある。




宮城リョータを9割主役にしてる今回のストーリーの中にも、それぞれが成長した姿が描かれていた。なんていうか抜かりないのだ。文句なし。素晴らしい。



あと1つだけ演出の面で感動しているのが、リョータと三井は既に出会っていたこと。これの粋なところは、2人はそれに気づいていないことです。読者だけが知っているという斬新な演出!!いや粋すぎるやろ!!なんやこれ!!


ということで、とてもいい映画を見ました。年末年始に知人たちからやたらと観た?ときかれまくったがその意味がわかる。そんで、観に行くつもりだけどまだ観てないというと、そうか·····と神妙な面持ちで何も語らなかった彼らの優しさを今感じています(語りたいけど語れないみたいな)


総括します。
そりゃ売れるわ。
現場からは以上です。



(三井の寿を飲んで帰りました)