とある百貨店で買い物したら、ホテルのレストランで使えるクーポンの引換券を頂いた。早速交換しに別フロアのその受付にたどりつくと、やり手の営業マンみたいなかんじの人が出てきて、クーポンを渡すやいなや、奥さま旅行は好きですか~??とかいう声掛けをしてきた。あ、これセールスや、と瞬時に感じ取った。
いやまあそうだよなただであげないよなと思い直し、大人しくアンケートに記入し営業を受ける。ここまではOK。商いとはそういうもの。ただね、また来たよこれ。みんながみんな旅行好きと思ってるやつ。これ何気に私にとってはストレスなのです。旅行好きですって言わなきゃいけないかんじがもう本当にいやなんです。
いやまあね、普通に考えて旅行ってみんなが好きなものだと思う。旅行がいやだっていうのはたまにいるケチャップ嫌い派みたいなかんじじゃない?大体みんな好きじゃんケチャップ。んで旅行嫌いとかちょっと狭い世界で生きてるかんじせん?実際いわれるもん、食わず嫌いだよ!行ったら世界観変わるよ~~~!って言う。あほみたいにみんな言う。すまんが私はケチャップは好きでも本当に心から旅行に興味が無いのだ。べつに嫌悪してもないけど特段好きでもない。でも確実に優先度は低い。友人とか家族に誘われたらしぶしぶ行く感じ。そら行ったら行ったで当然楽しみもあるし、そこに文句はありません。ただ自分からあそこに行こうとかは本当に言わない。一人旅とかも当然行かない。世界観広がるとかいいましても私は今すぐここで色んなものに感性巡らせることできます。海外行きゃそりゃ分かりやすく言葉の違い文化の違い国民性の違い当然学ぶことあるけど、日本で、今ここでなんも学びがないのかというたらそんなことないしむしろ学ぶことしかない。今ここでなんも学ぶ気がないくせに日本つまらんとか言うやつなんなんて思うし、つまりインドア=行動力の無い人間みたいな方程式が本当に好かんのだ!!(熱くなってゴメンネ)
で、だ。そのセールスマンは全人類が旅行好きだって思ってる。そういうかんじで話してくる。旅行興味ないのでとバッサリ言いたいところだがあちらの機嫌を損ねるのも嫌なので、私あまり行かないんです~とやんわり言ってみた。ところが時間や金銭面等を理由に行けてないみたいに取られたようで、うちならこんなシステムでこんなホテルでナンタラカンタラ話が止まらない。そらそうだ、この人は全人類が旅行を好きだと思っているからだ。
それでも私は黙っていた。むしろ感じよく頷いていた。私はずっと営業をしていたので営業マンの気持ちだってわかる。いくら興味がないからって露骨にそんな態度出されたら嫌だし、ある程度話を聞いてから意見したほうが印象はいい。そんなあるべき顧客像なんかを考えながら、タブレットの画面を見つめていた。
これまでの旅行遍歴など質問の受け答えもありつつ5分くらい経っただろうか、セールスマンは、良くないですか~?と言った。そうですねぇ(一般的には)まあいいですね·····と私は当たり障りないことを言った。私の反応のにぶさに気づいたかいないのか、彼はさらに今度ある説明会とやらの説明をし始めた。なにやら、こういう素敵な制度があるよという説明会があるらしいのだ。そして彼はまた言った。良くないですか~??
ここで私の営業マン精神が黙っていられなくなった。クロージングで良くないですかってワードなんやねん
顧客に何をして欲しいんかがまったくわからんがな。なんならこっちは良いともなんとも思っとらんからな!我慢できずあのすみません私はなにをしたらいいんですか??と言った。説明会に来て欲しいっていえよ。嫌って言うから。良くないですか?とかいうクロージングが成り立つと思うなよ!!!!とは勿論言ってないが、そこでやっと解放してもらえた。私は少しマイナーだと思いますけど普通の女性はいいって言うと思いますよ·····とどこまでも気を遣った。