録画を頼まれた母は後日、「正しい街歌いよらしたよ~あれてすごいらしかねぇ。あとひさこさんもおらしたよ」と言った。ひさこさんのすごさは知っているが正しい街が地上波で流れる価値についてはまだよく理解できていないらしい。そうだ、正しい街はすごいんだ。そしてひさこさんも。(あとボボさんも。)
できるなら私は早良区に永住したかった。そしてその夢はいまもまだ、ある。私はこの夏結婚して引っ越したばかりだが、今もそこにたまに赴く。百道浜も室見川も近くにあるそこは、椎名林檎のアレだからとかはとくに関係なく昔から馴染みのある土地で、私にとって青春で、まちがいなく私の第2のふるさと。そんな早良区の百道浜と室見川は、先週金曜日にTwitterでおおいに呟かれた。叫ばれたといってもいい。正しい街の歌詞の中でも特別印象的なそのフレーズは、「愛好家」と名乗る者にこぞってつぶやかれる。百道浜も君も室見川もない、と。
そんなMステを、私はまだ観れていない。録画してもらったそれが実家にあるからだという理由もあるけれど、ネット上でも観れていない。なぜかっていうとたぶん、好きだからだ。私にとってでかすぎるからなんだ。
好きすぎて嫌いみたいな感情は、誰にでもあるのかも知れない。私にはおそらくある。
椎名林檎もバンプオブチキンも私の思春期。周りに認知されるほどに好きなアーティストだった。そのあと愛するくるりと出会うのだが、今私が心から全ての情報を得たい、会いに行きたい、と思うのは椎名林檎ではなく、バンプオブチキンではなく、くるりだ。あと小山田壮平だ。心から湧き出る幸福感。それが椎名林檎にもバンプオブチキンにも持てないのは、好きすぎてつらい状態というやつだろう。当時はキワモノ扱いのリンゴも、当時はブサイクだけど曲いいよねとか言われてたバンプも、最早でっかくなりすぎた。まわりにはキャーキャーいうてるファンがいて、聞けば5、6年ほど前からファンみたいなそんな人達が多くて、いやべつにファン歴がすべてではありませんけど?キャーキャーいうてるTwitterを見ながら私は「20年前から好きでしたけど?」という気持ちになるのだ。そしてそれが吉岡里帆だとしても、ジェニーハイだとしても、相手が芸能人でも思うのだ。どうしても。
そんな恋愛みたいなことをしている。
くるりはいいぞ。ファンは年齢も雰囲気も落ち着いてるし、音楽も硬派だ。やたらめったら着飾ることもせず、ギラギラしてない。死ぬほど好きな訳でもないから嫉妬もしない。長く好きで居られる人は、こういうことかも知れないね。わたしの結婚観なんかはまるでこんなかんじかもしれません。