志村さん亡きあと発売されたフジファブリックの5th「MUSIC」。そのアルバムはタイトル曲である「MUSIC」からはじまりますが、私これが大好き。だから何度ネタにしたかわからんのだけれど、また今日もこれについて書く。
この曲のなにが好きっていうと、季節が一周するところ。フジファブリックは四季シリーズと称して、春盤「桜の季節」から冬盤「銀河」まで志村流春夏秋冬を聞かせてくれたわけですけど、それがおよそ二分半で総括されたような、そうそう、フジファブリックのハイライトを見せられたような気になる。
こないだ、帰りの電車で偶然、高校の先輩に出くわした。私の父が死んだことを人づてに聞いたそうで、いろいろと言葉をかけてくれた。それから、実は昨年同じ病でお姉さんを亡くしていたことを打ち明けてくれた。私の父は55だったけどお姉さんはまだ30代、年齢の話ではないけれど、ショッキングな話。少し脱線したが、その時先輩が言った「季節が一周するまではつらいね」という言葉が、ふとこの曲にリンクしたのです。
そのときこの曲がなんでこんなに心ひきつけるのか、アルバムの最初にあるのかが、わかったような気がしました。
花びら踏みつぶして歩いたり遊び半分で通せんぼしたり、好きな人の笑顔を思い出したりする志村さんはもういないけど、冬のつぎはまた春です。だれがいてもいなくても、一年一年とまた季節がめぐっていくんですね。志村さんはまた違った意図でこの曲を書いたのだろうな。デモ音源の段階で気の抜けた声がそう思わせる。でも志村さんがいない今、この曲が持つ意味は明らかに違っているとおもうし、こんな何気ない飾らない曲だからこそ伝わるものが大きくて、大好きです。
新曲を聴いた。付属のDVDを観た。三人がフジファブリックを続けてくれて嬉しい。でもなんだろうこの気持ちは。共感してくれる人がどのくらいおるのかわからん。こんなこと言っても仕様がないことはわかっとる。しかし誤解を恐れずに言うと、私どうしても、志村さんが歌うフジファブリックが良いんだな。

MUSIC(2010)