夕方基盤にて、いまだに公務員気分の抜けない定年間近のおじさまが、小走りで駅へ急ぐ。何を行き急いでいるか知らないが、私はふと好きだった人を思いだす。
父は元気でいるだろうか。私の赤獅子みたいな膨れた丸顔を愛でてくれた両親を思い、なぜだか基盤で密かに泣けた。飲み屋の兄ちゃんはイケメンだったが私と住む世界が違っていた。褒められた先輩は私とすべてが違っている。調子の良い人間にあっさり裏切られることもある。好きでもない人から1日の報告メールが送られ、どうでもいい人から飲みに誘われ、この人らを好きになれたらこんなに楽しい話は無いのにと思う。この際不貞の道に逸れてみればとらしくないことを考えるが、幸か不幸か私にはそんな度胸も興味もないので安心して欲しい。お父さん、お母さん。