2月11日 (木) BShi
11:00~12:30

ハイビジョン特集 - 金メダルを決める一瞬

フィギュアスケート、ジャンプ、アルペン滑降。
バンクーバー五輪の金メダル候補たちの強さの秘密を
ハイスピードカメラによる特撮と科学的な分析で明らかにする。
再放送。

BSオンライン

毎日新聞
意外に知らない、もっと知りたい…五輪のヒミツ10


雪と氷の祭典、冬季オリンピックが、12日(日本時間13日)にカナダ・バンクーバーで始まる。
日本選手のメダルへの期待や、意外に知らない競技の知識など、素朴な10の疑問を探った。
 Q 日本勢でメダルへの期待が高い競技種目は?

 A 元日本体育協会職員で五輪評論家、伊藤公さんがあげるのが
▽スケート・スピード男子五百メートル
▽女子フィギュア
▽スキー・ジャンプ団体
▽女子モーグル
の4種目。スピードでは、昨年のW杯でそれぞれ優勝経験のある加藤条治(25)、長島圭一郎(27)の両選手に加え、
トリノ(イタリア)で4位と健闘した及川佑選手(29)の滑りも楽しみ。
ジャンプは、岡部孝信(39)、葛西紀明(37)の両ベテラン選手の踏ん張りがメダル獲得の条件だ。

 Q メダルは何個とれる? 

 A 冬季五輪のメダル数は長野の10個が最高だ。橋本聖子団長は結団式で複数メダルを目標にかかげた。
伊藤さんは「3個とれれば上出来だろう」。かぎを握るのは、上村愛子選手(30)らが出場する大会2日目の女子モーグル。
「序盤でメダルをとると日本チームは勢いづく。長野では、4日目にスケートの清水宏保選手が金をとったことがメダルラッシュにつながった」

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 Q スケート女子フィギュアで、浅田真央選手と、韓国の金妍児(キム・ヨナ)さんの19歳同士の対決はどうなる?

 A 競技の採点の基準は、技術と表現の二つ。
プロスケーターの太田由希奈さん(プリンスホテル)は「真央ちゃんは、ステップを中心に高い技術力があり、金妍児さんは表現力に優れます」と言う。
「今シーズンの前半戦を見る限り、安定感のある金妍児さんが有利かもしれない。でも真央ちゃんの巻き返しも十分期待できる」。
五輪評論家の伊藤さんは「真央ちゃんが勝つのは難しいだろう」。最終的に勝敗を分けるのは精神面となりそう。
「どれほど落ち着いてジャンプできるかも重要です」(太田さん)

 Q 曲や衣装はどのように決まるのだろう?

 A 選手のプログラムは曲選びから始まる。技や表現の個性を生かせるよう編曲し、ジャンプ、スピン、ステップの順を決める。
トリノの金メダリスト、荒川静香選手が地元の作曲家プッチーニの「トゥーランドット」で会場を沸かせたように、観客の反応も考えて選曲する。
クラシックが多いのは、ベテランの審判員になじみやすいため。
ただ、男子の小塚崇彦選手(20)が選んだのは、布袋寅泰さんやジミ・ヘンドリックスのロック。カナダ人の魂を揺さぶれるか。

 女子の衣装の多くは、母親やデザイナーが、曲調や振り付けに合うよう作る。
化粧は、一流選手も自分でするのが普通だ。

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 Q 男子は4回転ジャンプをすれば勝てるのか?

 A 太田さんは「高得点をあげるには、ジャンプ、スピン、ステップの総合的なバランスが大事です」と言う。
男子では、エースの高橋大輔選手(23)、成長著しい織田信成選手(22)ら日本勢も4回転を武器にするが、
トリノの覇者、エフゲニー・プルシェンコ選手(ロシア)、同じく2位のステファン・ランビエル選手(スイス)らの4回転は安定感十分。
蛇足ながら「慣れているので、どんなにジャンプしても目が回ることはありません」(太田さん)とのこと。

 Q カーリング女子はどうして「青森」が強いのか?

 A 青森市内に専用のカーリング場ができたのは、2002年。
県カーリング協会事務局長は「それまではスケート場で練習していたが、全国大会では勝てなかった」と話す。
所属する企業が選手の長期遠征に配慮した勤務形態をとるなど、地元をあげて競技を支える。
トリノでの活躍で、協会への登録者は50人から200人に増えた。
「女子」が注目されがちだが、登録者の3分の2は男性だ。

 Q バンクーバーでは、カーリングは盛んなの? 

 A カナダでは、ゴルフ場とカーリング場が並ぶ施設が多く、カーリングは市民に最も身近なスポーツの一つ。
カナダの国内大会は、五輪よりレベルが高いとされるほどだ。
リンクを凍らせる技術は国によって異なり、カナダのリンクは投げたストーン(丸い石)の曲がり幅が大きい。
「氷の癖を読み切れれば、メダルが近付く」(同事務局長)

 Q スケルトンの越和宏選手は45歳で冬季五輪史上最年長での出場だ。その肉体の秘密とは?

 A 腹ばいでソリに乗るスケルトンは最高速度が時速120キロを超す。
7年前から越選手を指導するスポーツトレーナー、松本整さんは、自らも競輪選手として最高齢優勝記録を塗り替えた「鉄人」だ。
「年をとれば身体能力が落ちるのは当たり前。だから、今の越選手の能力を効率的に生かすトレーニングを続けた」と松本さん。
スタートダッシュが速まり、ソリのスピードも上昇した。同時に、けがを防ぐために首回りを中心に筋肉を鍛え、
高速状態での体の傾きを感じ取れるよう動体視力などの訓練を重ねた。

 Q ノルディック複合で「日本復活」なるか?

 A アルベールビル(フランス)、リレハンメル(ノルウェー)と2大会連続で、荻原健司選手(現参院議員)らによる団体で優勝した。
前半の「飛躍」でリードを稼ぎ、後半の「距離」で逃げ切るのが日本のスタイルだった。
しかし、得点での飛躍の比重が減らされたり、スキー板の長さが制限されるなどのルール変更が響き低迷が続いた。
アルベールビルの金メダリストで、岩手県スポーツ特別指導員、三ケ田礼一さんは「距離に強い選手が出てきた。
代表に選ばれた5人がそろって15位に入れる実力を持つのは日本ぐらい。団体、個人ともにメダルを期待できる」と語る。

 Q リンクに投げ込む花はどんなものでもいいの?

 A 長野五輪で、投げ込み用の花を担当したのは「宮田花店」(東京都文京区)。
宮田三雄店長は「破れにくい厚手のセロハンで全体を覆った」と言う。
選手が落ちた花びらや葉を踏むと、バランスを崩す恐れがあるからだ。
現在も大きな大会では1000束ほど用意しほとんど売り切れる。
選手の衣装に近い色をファンが好むため、バラを中心に、赤、黄、ピンクなど12種類ほどつくる。
投げやすいよう、枝の先の吸水性スポンジが重しになっている。
ちびっこスケーターが拾った後は競技関係者が持ち帰る場合もあるが、太
田さんは「選手時代は実家で飾っていました」。

 ■日本代表の冬季五輪メダル数

56年 コルティナダンペッツォ 1(銀1)

72年 札幌 3(金1、銀1、銅1)

80年 レークプラシッド 1(銀1)

84年 サラエボ 1(銀1)

88年 カルガリー 1(銅1)

92年 アルベールビル 7(金1、銀2、銅4)

94年 リレハンメル 5(金1、銀2、銅2)

98年 長野 10(金5、銀1、銅4)

02年 ソルトレークシティー2(銀1、銅1)

06年 トリノ 1(金1)

毎日新聞
夢かなえて:バンクーバー五輪/1 邦和スポーツランド フィギュア・鈴木明子選手


◇懸命な姿に支えの輪
 名古屋市港区の邦和スポーツランド(SL)内にあるスケートリンク。
1月中旬にあったフィギュアスケート女子シングル代表、鈴木明子選手(24)=愛知県豊橋市=の公開練習には報道陣50人が詰めかけた。
アイスショー開催の実績もあるが「これだけ並んだ取材カメラは見たことがない」と関係者は
「アキコ効果」に驚いた。

 邦和SLは東邦ガスの子会社・東邦不動産が運営。
鈴木選手の急成長を追うように支援体制を強めている。リンクはもともと冬季のみ営業だったが、
愛知県長久手町の県営リンク閉鎖に伴い、県などから「夏も」との希望があり改装。
02年から通年営業している。

 すると、選手が集まるようになった。
06年トリノ五輪前に安藤美姫選手(22)=名古屋市=が一時国内の拠点に。
東北福祉大にいた鈴木選手も練習拠点の仙台市から地元に戻り07年4月、契約社員として邦和SLに入った。

 当時は全日本選手権入賞レベル。
東邦不動産の松岡好和スポーツ・セミナー事業部長(58)は
「選手専従というつもりはなかった」と言い、選手活動は貸し靴受け付けなどの業務と両立。
遠征費援助も国内大会のみだった。
今は通常業務から外れ、スケート靴と1大会に3着が必要な衣装費も援助されている。

 好成績とともに施設の知名度も上がり、ジュニアのスケート教室の生徒数は400人を超え全国有数の規模。
職員が利用者から「おめでとう」と祝福の声をかけられる。

 邦和SL内は今、「アキコ頑張れ」一色だ。
海外遠征からの帰国の度に多くの社員が空港に繰り出し、手作りのボードを持って出迎える。
東邦ガス社員も含め約120人が集まった公開練習後に開かれた壮行会で鈴木選手は
「ここにいる方を含め、お世話になった方の誰か一人が欠けてもここまでこられなかった」
と感謝の言葉を口にした。邦和SLの鬼頭賢次所長(51)は
「業務開始前から練習する懸命さを見ると応援せずにはいられない」。
今月下旬の鈴木選手の大舞台。その周りは熱い思いに満ちている。

      ◇

 12日(日本時間13日)に開幕するバンクーバー冬季五輪。
愛知県勢が日本代表を独占したフィギュアスケート女子3選手をはじめ、
東海3県からも多くの選手が出場する。世界の夢舞台に立つ選手の向こうには、
かなえてあげようと競技活動を支える人、学校、企業がいる。選手と支援側の「熱き戦い」にスポットライトを当てる。=つづく




夢かなえて:バンクーバー五輪/2 中京大学 フィギュア・浅田真央、安藤美姫選手ら


◇改革志向、選手の支えに
 寺尾悟、勅使川原郁恵……。
かつてはショートトラックで五輪の上位を占めた選手を輩出した中京大が、
フィギュアスケート選手の相次ぐ入学で一層注目されるようになった。

 昨年4月の入学式。長い髪、スーツ姿の浅田真央選手(19)=名古屋市=が、
新入生との写真撮影に気軽に応じ、リラックスした笑顔を見せていた。

 中京大が選手獲得に力を入れ始めたのは、安藤美姫選手(22)=名古屋市、4年生=が、
付属の中京大中京高に入学した03年ごろから。
同高からは、小塚崇彦選手(20)=名古屋市、3年生=らも進学。
体育学部長でスケート部長の湯浅景元教授(コーチ学)はフィギュアスケートのジャンプやスケーティングの運動解析を長年研究。
「スポーツではあるが芸術的な要素があり興味がある。うちを選んでくれてうれしい」と話す。

 近年、中京大は華々しく冬季競技施設造りを展開している。
浅田選手が本番直前まで使う豊田キャンパスのスケートリンクは3年前に完成し総工費約15億円。
長野県白馬村のスキー場にあるフリースタイルスキー・モーグルの練習用ウオータージャンプ台の改修に協力。
そこで鍛えたスキー部の伊藤みき選手(22)=滋賀県出身、4年生=が日本時間14日、登場する。

 有名アスリートの獲得は、大学の特色づくりに一役買っている。
大学は少子化の中、学生確保のため校名変更はもちろん、学部改編や施設充実、
入試方法の変更など生き残りに必死だ。

 中京大も00年から、毎年のように学部・学科見直しと、新学部設置に努める。

 一般入試の志願者の延べ人数は99年度の1万7000人台が、約10年後の現在は2万人前後に増加。
定員割れの著しい大学がある中、健闘している。
大手予備校関係者は「改革に積極的で広報戦略も上手。フィギュアスケート選手の活躍も影響があると思う。
偏差値についても、少子化で一般的に競争率低下とともに下がる傾向があるが、
中京大は学部によって上がっている」と分析する。

 改革に努める大学の力が、五輪選手の支えになっている。