毎日新聞
意外に知らない、もっと知りたい…五輪のヒミツ10
雪と氷の祭典、冬季オリンピックが、12日(日本時間13日)にカナダ・バンクーバーで始まる。
日本選手のメダルへの期待や、意外に知らない競技の知識など、素朴な10の疑問を探った。
Q 日本勢でメダルへの期待が高い競技種目は?
A 元日本体育協会職員で五輪評論家、伊藤公さんがあげるのが
▽スケート・スピード男子五百メートル
▽女子フィギュア
▽スキー・ジャンプ団体
▽女子モーグル
の4種目。スピードでは、昨年のW杯でそれぞれ優勝経験のある加藤条治(25)、長島圭一郎(27)の両選手に加え、
トリノ(イタリア)で4位と健闘した及川佑選手(29)の滑りも楽しみ。
ジャンプは、岡部孝信(39)、葛西紀明(37)の両ベテラン選手の踏ん張りがメダル獲得の条件だ。
Q メダルは何個とれる?
A 冬季五輪のメダル数は長野の10個が最高だ。橋本聖子団長は結団式で複数メダルを目標にかかげた。
伊藤さんは「3個とれれば上出来だろう」。かぎを握るのは、上村愛子選手(30)らが出場する大会2日目の女子モーグル。
「序盤でメダルをとると日本チームは勢いづく。長野では、4日目にスケートの清水宏保選手が金をとったことがメダルラッシュにつながった」
■
Q スケート女子フィギュアで、浅田真央選手と、韓国の金妍児(キム・ヨナ)さんの19歳同士の対決はどうなる?
A 競技の採点の基準は、技術と表現の二つ。
プロスケーターの太田由希奈さん(プリンスホテル)は「真央ちゃんは、ステップを中心に高い技術力があり、金妍児さんは表現力に優れます」と言う。
「今シーズンの前半戦を見る限り、安定感のある金妍児さんが有利かもしれない。でも真央ちゃんの巻き返しも十分期待できる」。
五輪評論家の伊藤さんは「真央ちゃんが勝つのは難しいだろう」。最終的に勝敗を分けるのは精神面となりそう。
「どれほど落ち着いてジャンプできるかも重要です」(太田さん)
Q 曲や衣装はどのように決まるのだろう?
A 選手のプログラムは曲選びから始まる。技や表現の個性を生かせるよう編曲し、ジャンプ、スピン、ステップの順を決める。
トリノの金メダリスト、荒川静香選手が地元の作曲家プッチーニの「トゥーランドット」で会場を沸かせたように、観客の反応も考えて選曲する。
クラシックが多いのは、ベテランの審判員になじみやすいため。
ただ、男子の小塚崇彦選手(20)が選んだのは、布袋寅泰さんやジミ・ヘンドリックスのロック。カナダ人の魂を揺さぶれるか。
女子の衣装の多くは、母親やデザイナーが、曲調や振り付けに合うよう作る。
化粧は、一流選手も自分でするのが普通だ。
■
Q 男子は4回転ジャンプをすれば勝てるのか?
A 太田さんは「高得点をあげるには、ジャンプ、スピン、ステップの総合的なバランスが大事です」と言う。
男子では、エースの高橋大輔選手(23)、成長著しい織田信成選手(22)ら日本勢も4回転を武器にするが、
トリノの覇者、エフゲニー・プルシェンコ選手(ロシア)、同じく2位のステファン・ランビエル選手(スイス)らの4回転は安定感十分。
蛇足ながら「慣れているので、どんなにジャンプしても目が回ることはありません」(太田さん)とのこと。
Q カーリング女子はどうして「青森」が強いのか?
A 青森市内に専用のカーリング場ができたのは、2002年。
県カーリング協会事務局長は「それまではスケート場で練習していたが、全国大会では勝てなかった」と話す。
所属する企業が選手の長期遠征に配慮した勤務形態をとるなど、地元をあげて競技を支える。
トリノでの活躍で、協会への登録者は50人から200人に増えた。
「女子」が注目されがちだが、登録者の3分の2は男性だ。
Q バンクーバーでは、カーリングは盛んなの?
A カナダでは、ゴルフ場とカーリング場が並ぶ施設が多く、カーリングは市民に最も身近なスポーツの一つ。
カナダの国内大会は、五輪よりレベルが高いとされるほどだ。
リンクを凍らせる技術は国によって異なり、カナダのリンクは投げたストーン(丸い石)の曲がり幅が大きい。
「氷の癖を読み切れれば、メダルが近付く」(同事務局長)
Q スケルトンの越和宏選手は45歳で冬季五輪史上最年長での出場だ。その肉体の秘密とは?
A 腹ばいでソリに乗るスケルトンは最高速度が時速120キロを超す。
7年前から越選手を指導するスポーツトレーナー、松本整さんは、自らも競輪選手として最高齢優勝記録を塗り替えた「鉄人」だ。
「年をとれば身体能力が落ちるのは当たり前。だから、今の越選手の能力を効率的に生かすトレーニングを続けた」と松本さん。
スタートダッシュが速まり、ソリのスピードも上昇した。同時に、けがを防ぐために首回りを中心に筋肉を鍛え、
高速状態での体の傾きを感じ取れるよう動体視力などの訓練を重ねた。
Q ノルディック複合で「日本復活」なるか?
A アルベールビル(フランス)、リレハンメル(ノルウェー)と2大会連続で、荻原健司選手(現参院議員)らによる団体で優勝した。
前半の「飛躍」でリードを稼ぎ、後半の「距離」で逃げ切るのが日本のスタイルだった。
しかし、得点での飛躍の比重が減らされたり、スキー板の長さが制限されるなどのルール変更が響き低迷が続いた。
アルベールビルの金メダリストで、岩手県スポーツ特別指導員、三ケ田礼一さんは「距離に強い選手が出てきた。
代表に選ばれた5人がそろって15位に入れる実力を持つのは日本ぐらい。団体、個人ともにメダルを期待できる」と語る。
Q リンクに投げ込む花はどんなものでもいいの?
A 長野五輪で、投げ込み用の花を担当したのは「宮田花店」(東京都文京区)。
宮田三雄店長は「破れにくい厚手のセロハンで全体を覆った」と言う。
選手が落ちた花びらや葉を踏むと、バランスを崩す恐れがあるからだ。
現在も大きな大会では1000束ほど用意しほとんど売り切れる。
選手の衣装に近い色をファンが好むため、バラを中心に、赤、黄、ピンクなど12種類ほどつくる。
投げやすいよう、枝の先の吸水性スポンジが重しになっている。
ちびっこスケーターが拾った後は競技関係者が持ち帰る場合もあるが、太
田さんは「選手時代は実家で飾っていました」。
■日本代表の冬季五輪メダル数
56年 コルティナダンペッツォ 1(銀1)
72年 札幌 3(金1、銀1、銅1)
80年 レークプラシッド 1(銀1)
84年 サラエボ 1(銀1)
88年 カルガリー 1(銅1)
92年 アルベールビル 7(金1、銀2、銅4)
94年 リレハンメル 5(金1、銀2、銅2)
98年 長野 10(金5、銀1、銅4)
02年 ソルトレークシティー2(銀1、銅1)
06年 トリノ 1(金1)
意外に知らない、もっと知りたい…五輪のヒミツ10
雪と氷の祭典、冬季オリンピックが、12日(日本時間13日)にカナダ・バンクーバーで始まる。
日本選手のメダルへの期待や、意外に知らない競技の知識など、素朴な10の疑問を探った。
Q 日本勢でメダルへの期待が高い競技種目は?
A 元日本体育協会職員で五輪評論家、伊藤公さんがあげるのが
▽スケート・スピード男子五百メートル
▽女子フィギュア
▽スキー・ジャンプ団体
▽女子モーグル
の4種目。スピードでは、昨年のW杯でそれぞれ優勝経験のある加藤条治(25)、長島圭一郎(27)の両選手に加え、
トリノ(イタリア)で4位と健闘した及川佑選手(29)の滑りも楽しみ。
ジャンプは、岡部孝信(39)、葛西紀明(37)の両ベテラン選手の踏ん張りがメダル獲得の条件だ。
Q メダルは何個とれる?
A 冬季五輪のメダル数は長野の10個が最高だ。橋本聖子団長は結団式で複数メダルを目標にかかげた。
伊藤さんは「3個とれれば上出来だろう」。かぎを握るのは、上村愛子選手(30)らが出場する大会2日目の女子モーグル。
「序盤でメダルをとると日本チームは勢いづく。長野では、4日目にスケートの清水宏保選手が金をとったことがメダルラッシュにつながった」
■
Q スケート女子フィギュアで、浅田真央選手と、韓国の金妍児(キム・ヨナ)さんの19歳同士の対決はどうなる?
A 競技の採点の基準は、技術と表現の二つ。
プロスケーターの太田由希奈さん(プリンスホテル)は「真央ちゃんは、ステップを中心に高い技術力があり、金妍児さんは表現力に優れます」と言う。
「今シーズンの前半戦を見る限り、安定感のある金妍児さんが有利かもしれない。でも真央ちゃんの巻き返しも十分期待できる」。
五輪評論家の伊藤さんは「真央ちゃんが勝つのは難しいだろう」。最終的に勝敗を分けるのは精神面となりそう。
「どれほど落ち着いてジャンプできるかも重要です」(太田さん)
Q 曲や衣装はどのように決まるのだろう?
A 選手のプログラムは曲選びから始まる。技や表現の個性を生かせるよう編曲し、ジャンプ、スピン、ステップの順を決める。
トリノの金メダリスト、荒川静香選手が地元の作曲家プッチーニの「トゥーランドット」で会場を沸かせたように、観客の反応も考えて選曲する。
クラシックが多いのは、ベテランの審判員になじみやすいため。
ただ、男子の小塚崇彦選手(20)が選んだのは、布袋寅泰さんやジミ・ヘンドリックスのロック。カナダ人の魂を揺さぶれるか。
女子の衣装の多くは、母親やデザイナーが、曲調や振り付けに合うよう作る。
化粧は、一流選手も自分でするのが普通だ。
■
Q 男子は4回転ジャンプをすれば勝てるのか?
A 太田さんは「高得点をあげるには、ジャンプ、スピン、ステップの総合的なバランスが大事です」と言う。
男子では、エースの高橋大輔選手(23)、成長著しい織田信成選手(22)ら日本勢も4回転を武器にするが、
トリノの覇者、エフゲニー・プルシェンコ選手(ロシア)、同じく2位のステファン・ランビエル選手(スイス)らの4回転は安定感十分。
蛇足ながら「慣れているので、どんなにジャンプしても目が回ることはありません」(太田さん)とのこと。
Q カーリング女子はどうして「青森」が強いのか?
A 青森市内に専用のカーリング場ができたのは、2002年。
県カーリング協会事務局長は「それまではスケート場で練習していたが、全国大会では勝てなかった」と話す。
所属する企業が選手の長期遠征に配慮した勤務形態をとるなど、地元をあげて競技を支える。
トリノでの活躍で、協会への登録者は50人から200人に増えた。
「女子」が注目されがちだが、登録者の3分の2は男性だ。
Q バンクーバーでは、カーリングは盛んなの?
A カナダでは、ゴルフ場とカーリング場が並ぶ施設が多く、カーリングは市民に最も身近なスポーツの一つ。
カナダの国内大会は、五輪よりレベルが高いとされるほどだ。
リンクを凍らせる技術は国によって異なり、カナダのリンクは投げたストーン(丸い石)の曲がり幅が大きい。
「氷の癖を読み切れれば、メダルが近付く」(同事務局長)
Q スケルトンの越和宏選手は45歳で冬季五輪史上最年長での出場だ。その肉体の秘密とは?
A 腹ばいでソリに乗るスケルトンは最高速度が時速120キロを超す。
7年前から越選手を指導するスポーツトレーナー、松本整さんは、自らも競輪選手として最高齢優勝記録を塗り替えた「鉄人」だ。
「年をとれば身体能力が落ちるのは当たり前。だから、今の越選手の能力を効率的に生かすトレーニングを続けた」と松本さん。
スタートダッシュが速まり、ソリのスピードも上昇した。同時に、けがを防ぐために首回りを中心に筋肉を鍛え、
高速状態での体の傾きを感じ取れるよう動体視力などの訓練を重ねた。
Q ノルディック複合で「日本復活」なるか?
A アルベールビル(フランス)、リレハンメル(ノルウェー)と2大会連続で、荻原健司選手(現参院議員)らによる団体で優勝した。
前半の「飛躍」でリードを稼ぎ、後半の「距離」で逃げ切るのが日本のスタイルだった。
しかし、得点での飛躍の比重が減らされたり、スキー板の長さが制限されるなどのルール変更が響き低迷が続いた。
アルベールビルの金メダリストで、岩手県スポーツ特別指導員、三ケ田礼一さんは「距離に強い選手が出てきた。
代表に選ばれた5人がそろって15位に入れる実力を持つのは日本ぐらい。団体、個人ともにメダルを期待できる」と語る。
Q リンクに投げ込む花はどんなものでもいいの?
A 長野五輪で、投げ込み用の花を担当したのは「宮田花店」(東京都文京区)。
宮田三雄店長は「破れにくい厚手のセロハンで全体を覆った」と言う。
選手が落ちた花びらや葉を踏むと、バランスを崩す恐れがあるからだ。
現在も大きな大会では1000束ほど用意しほとんど売り切れる。
選手の衣装に近い色をファンが好むため、バラを中心に、赤、黄、ピンクなど12種類ほどつくる。
投げやすいよう、枝の先の吸水性スポンジが重しになっている。
ちびっこスケーターが拾った後は競技関係者が持ち帰る場合もあるが、太
田さんは「選手時代は実家で飾っていました」。
■日本代表の冬季五輪メダル数
56年 コルティナダンペッツォ 1(銀1)
72年 札幌 3(金1、銀1、銅1)
80年 レークプラシッド 1(銀1)
84年 サラエボ 1(銀1)
88年 カルガリー 1(銅1)
92年 アルベールビル 7(金1、銀2、銅4)
94年 リレハンメル 5(金1、銀2、銅2)
98年 長野 10(金5、銀1、銅4)
02年 ソルトレークシティー2(銀1、銅1)
06年 トリノ 1(金1)