《音楽と初めて出会ってから20年以上が経過した今、人生で最も満足のいく演奏ができている。


1分1秒の瞬間瞬間に、永遠が凝縮されているかのような濃密な時間だった。

尊敬するショパンが書き遺してくれた譜面に没入し、今僕はショパンと同じ時間を生き、ショパンと融け合っている。


恍惚と陶酔の輝きに身を浸し、全身全霊でピアノ協奏曲第1番を弾ききった。


僕が追い求めていたショパンが、今ステージ上に姿を現した。

あの瞬間、僕は饒舌が過ぎるほどにショパンと対話していたのかもしれない。》


この心が震えるような素晴らしい文章、これは反田恭平さんが書いた本、《終止符のない人生》のプロローグの最後の部分の文章です。


反田恭平さんを知ったのは、クラシック倶楽部です。


そして、フラコが大好きだったアニメーション、《ピアノの森》のピアノ演奏者の一人だと知り、ますます興味をひかれたひとです。


そしてショパンコンクール2位という快挙で日本中が大喜び、大騒ぎになって、反田恭平さんのひととなりが、あまりに素晴らしい若者だと知った。


ショパンコンクール後、本を出したのは知っていましたが、まだ読めていなかった。


そして二日前、反田さんの本を見つけ早速購入した。


冒頭から、面白く、素晴らしく、クラシック音楽をよくわからないフラコでも、夢中になれる書き出しです。


ショパンコンクール、今ではクラシックを知らなくても、ショパンコンクールは知っている人たちは多いことでしょう。


かのブーニンがショパンコンクールで優勝した時、マスコミが大騒ぎしたのを覚えています。


ピアノ曲を知らなくても、ブーニンの〈英雄ポロネーズ〉は知っているという人も多いでしょう。

フラコもそんな1人でした。


ピアノを習うようになってもクラシックと言える曲はエリーゼのためにとノクターン9―2だけしか弾けません。


それでもベートーヴェンとショパンが弾けるという自負はフラコを極上の幸せへと誘ってくれます。


ピアノの世界を覗くようになり、少しずつわかってきた、ピアニストとして生きることの大変さ、偉大さに尊敬の心はますます大きくなります。


反田恭平さんがショパンコンクールで2位を掴む過程は、自分があたかも出場するみたいな臨場感で読ませます。


クラシックを若者の感性で捉え、クラシックをもっと一般に身近なものにするための反田さんの構想、本当に共感を持って読みました。


反田さんの挑戦、古いクラシックファンからは、意義あり!みたいな声も聞こえて来そうですが、クラシックも一般の音楽と同じように、若者が好む1ジャンルになっていくのでしょう。