■ちょっとお付き合いください

 

 

 

 

こんにちは♪

起業女性のみなさんに

文章づくりの楽しさをお伝えしたい

ライター*うちはしまいこです。

 

 

しばらく前に、作家・辻仁成さんが

主宰される「文章教室」を受講しました

(オンライン化のメリットを思い切り享受!)

 

 

「食と旅のエッセイ」というテーマで

提出課題があり、書いてみたのですが。

 

 

〆切に間に合いませんでした……。

 

 

せっかくなので、ここで

アップしてしまおうと思い立ちまして……。

 

 

よろしければお付き合いください。

感想などお聞かせくださると

泣いて喜びます♪

(いつもと改行が違うので少々読みにくいかもしれません)

 

 

****************

 

 

旅路の笑顔に甘栗を

 

 

「一泊の休み、取れる?」

 

冬に向かい始めたある日の朝、珍しく母から電話がきた。

県北部にある民宿へ、解禁になったばかりの松葉ガニを食べに行かないかという。

「行く、行く!」

同じく二つ返事で賛成した妹と仕事の休みを合わせ、大阪と神戸それぞれの一人暮らしの地から帰省することになった。

 

♪とれとれ、ぴちぴち、カニ料理〜

 

関西人なら誰でも歌えるCMソングが、頭の中をグルグルと回る朝、実家に向かう高速バスに乗るために降り立った大阪駅で、目に入ったのは天津甘栗の売店だった。

 

「今日の帰省土産は甘栗だ!」

 

普段よりちょっと大きめの袋を奮発したのは、カニに引き出されたアドレナリンのせいだったのかもしれない。

 

 

実家についてすぐ、父が運転する車に乗り込み、およそ3時間のドライブが始まった。旅のお供は、あの天津甘栗だ。

袋を開けると同時に、いぶされた香ばしい匂いが一気に車中を満たす。

ぷっくりとふくらんだ栗の実はこげ茶色のテリをまとい、どれもつやつやとした輝きを放っている。

 

「おいしそう~!」

「こんなに山盛りの甘栗、初めてかも~!」

「いっただっきまーす♪」

 

栗に立てた爪が、わずかに力を入れただけでプチッと実まで届く。

それほど柔らかな鬼皮は、「むく」というより「めくる」と表現したいほど簡単に実から離れ、中からはやっぱりつやつやと輝く実がするっと現れた。

こうなるともう、やめられない、止まらない。

 

そんな私たちを横目に、ハンドルを握る父は冷静だった。

 

「せっかく昼ごはんも控えてカニを食べに行くんだから、ほどほどにしておけよ」

 

「別腹、別腹」と意にも介さず栗を口に運び続けるうち、あっという間に民宿へ。

目の前に海が広がる、こじんまりとした木造の宿だ。

通された和室ではすでに食卓の準備が整い、カニが運ばれてくるのを待つだけになっていた。

 

 

「お待ちしておりました。まずはお刺身からどうぞ」

 

仲居さんの笑顔と共に、刺身になったカニが目の前に供された。

目にした瞬間から、みずみずしさが口いっぱいに広がり始める。

プリプリとはじけそうな身は、水揚げされたばかりの新鮮さの証。

さすが、カニの王様と謳われる松葉ガニだ。

 

そんな刺身の皿が空かないうちから、蒸しガニ、焼きガニと次々に運ばれてくる。

想定外のカニ尽くしに狂喜しながらも、私たちは一抹の不安を感じ始めていた。

 

「ねえ、私、お腹がいっぱいかも……」

最初につぶやいたのは妹だった。

 

「うん。ちょっと食べすぎたかな」と私。

 

いちばん楽しみにしていた母も「お父さんの言うこと、聞いておけばよかった……」と悲しげにつぶやく。

 

そう、女性3人のお腹は、あの天津甘栗でほぼ満たされてしまっていたのだ。

 

「ほら、言ったこっちゃない。別腹じゃなかったっけ?」

 

おいしそうに次々と手を伸ばす父を恨めしく眺めながら、私たち3人はその後に続くカニスキも雑炊も、ほんの一口ずつしか楽しめなかった。

 

「大丈夫ですよ。残りのカニは全部冷凍にして、お持ち帰りいただけますからね」

ひそかに笑いをかみ殺しながら、フォローしてくれた仲居さんのやさしい声が、満腹のお腹に余計にせつなく染み渡った。

 

カニの季節が来るたびに、食べきれなかったカニと、天津甘栗をお土産に買って帰った私の失態を思い出しては、いつまでも笑い続けた母と私たち。

カニの思い出をつくるはずだった家族の旅は、天津甘栗が主役になってしまった。

 

 

その母は今、子どもに還る旅の途中にいる。

 

カニスキを囲むたび、食べすぎた甘栗を思い出し笑い続けていた母は、孫にほぐしてもらうカニの身を、ニコリともせず一心不乱に口へと運ぶ。

 

そうだ。母の旅のお供に、天津甘栗を買ってこよう。

あの日と同じ、笑顔が思い出になるように。(終)

 

 

****************

 

 

お付き合いありがとうございました♪

 

 

 

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