今回より、何回かに分けて
「なぜヒトは肥満になるのか」についてまとめていきたいと思います。
まず大前提として、ヒト以外では通常肥満にはなっていないということです。
自然界において、肥満で悩む動物は見かけることはほとんど無いと思います。
ヒト、及びヒトと同じような生活をしている動物だけが肥満になってしまう事が現状認められています。
この肥満に関しては、医学的な見地から様々な説が言われてきました。
今回はその中でも
「摂取カロリーと消費カロリー」
を取り上げます。
この考え方は単純であり
「摂取カロリーより、消費カロリーが少なければ肥満となってしまう」物です。
現在では「カロリー制限食」として、支持をされています。
では、そもそもカロリーとは何かをご存知でしょうか?
1カロリーとは「1gの水の温度を1℃上げるために必要な熱量」を指します。
由来が熱力学の分野であり、そもそもは物理学の分野の単位でした。
そして、この熱量を利用して現在のカロリー制限食へと繋がっていくわけですが、そこで更に使用されたのが
「エネルギー保存の法則」
という、これも物理の分野のお話です。
単純に言えば、食物から入ってきたエネルギーは消費しない限り身体の中に留まり、残ったエネルギー自体が肥満の原因であると考えるわけです。
一見、非常に理に適ったような考えですが、一点問題がありました。
それは「なぜ」カロリー摂取が大きくなると肥満になるのか?という点において解答が出来ないという事です。
また、カロリー制限下における大規模実験においても成果はあまり芳しいものではありませんでした。
一例を挙げてみます。
・1日800~1000kcalに制限(1940~50年代のクリニック治療のデータ)
→20人に1人が大幅な減量に成功した。
・1日辺り、360kcal少なくした実験(2万人の肥満女性)
→8年間で平均1kg減量し、平均ウエスト周囲径は増加した。
・800人の肥満者に1日あたり750kcalの制限を行う
→試験中に平均4kgの減量
→しかし元々平均23kgの過体重であった
→初めの6ヶ月で減量が起こり、1年後には元の体重に戻りつつあった。
これは一例ですが、カロリー制限のみでは力不足である事を示しています。
次回もカロリー制限について、少し触れていきます。