潜水艦バラバラ殺人事件の裁判の行方 | いまのしゅんかん

潜水艦バラバラ殺人事件の裁判の行方

潜水艦バラバラ殺人事件の裁判だが、10日目の今日、証人や物証の取り調べが終了し、あとは検察側の論告および求刑と、弁護人の弁論と、裁判官による判定、裁判長による判決を残すのみとなった。

ほぼ毎回ライブで追っていたが、ここでまとめてみたい。

   

一日目

-検察側新たな証拠提出

-容疑者の精神鑑定で常軌を外していることが判明

-容疑者尋問で、殺人容疑を否認、被害者は事故によって死亡したと主張

 

二日目

-検察側、容疑者が事件当日にみていた馘首のビデオを視聴させる。

-容疑者尋問で性的動機を否認

-弁護人による容疑者への質問で、ロケットや潜水艦プロジェクト、近親者について聞く。容疑者は、ロケットプロジェクトで仲間と関係が悪くなったことや、複数の愛人との性的関係について供述。

 

三日目

-法医学者による証人尋問で、死因は不明、生きているときにナイフで刺された可能性ありと証言。

-被害者の恋人の証人尋問で、1週間後に被害者の仕事で中国に移住する予定で、事件が起きた日に送別会があり、一緒に潜水艦に行きたかったが、ゲストが来るからと自宅に残ったと証言。途中で連絡が途切れ、心配でいてもたってもいられなくなり、当局にも通報。容疑者のワークショップで容疑者の妻に会った。

  

四日目

-容疑者の友人による証人尋問で容疑者は死について興味をもっていたと証言。

-容疑者のワークショップでインターンをしていたひとによる証人尋問-潜水艦の中でノコギリとスクリュードライバーをみたことがないと証言。

-事件があった当日、潜水艦に接触しそうになったタンカーの職員による証人尋問

 

五日目

-容疑者の愛人による証人尋問で、容疑者は決して暴力的ではなかったが、テキストメッセでのやりとりで暴力ポルノに興味があがった

-潜水艦を知っている証人尋問で、デッキと内部の間のドアが閉まってしまう問題について証言。しかし、潜水艦内にチューブや水ホースがあることは普通じゃないと証言。

   

六日目

-ビデオ鑑賞

-容疑者と被害者を目撃したひとの証人尋問で、いい雰囲気だったと証言。

-事件数日前に潜水艦に招待された女性の証人尋問で、数か月前に友達と一緒に容疑者と知り合ったが、なぜか自分だけが招待されておかしいと思い、招待を断ったと証言。

-容疑者の友人による証人尋問で、容疑者は第二次世界大戦や、アマーの連続殺人事件に興味があったと証言。

-潜水艦がらみの知人による証人尋問で、ノコギリは普通はないが、潜水艦内に棚を作るプランがあり、それに使う可能性を示唆。しかし、潜水艦の中で作る意図はなかったと証言。

   

七日目

-検察側が容疑者の携帯の通話について供述。被害者が死亡した直後くらいに妻にメッセージを送ったが、遺書とみれなくもない内容。

-被害者の両親の弁護人が、150000krの慰謝料を請求。通常子供は両親のところから引っ越すと請求できないが、被害者の登録されている住所は実家のままと主張。

-容疑者、改めて事件だと主張。

-潜水艦の所有者による証人尋問で、潜水艦の破棄を希望していると表明。

 

八日目

-潜水艦船長による証人尋問で、一酸化炭素、二酸化炭素、ノックスが検出されなかったことから、容疑者の、モーターによる吸引で低酸素による窒息での死亡、という主張に反論。

-技術研究所の専門家による証人尋問で、容疑者が7ページにわたって事故の詳細について記述されたレポートに対し、矛盾はみられないと証言。しかし、その場合、潜水艦内は70℃まで上がると計算結果を示唆。検察側は、遺体からはその状態にあったと示されないと主張。

-容疑者がノコギリをもっていたのを目撃したひとの証人尋問

-潜水艦に招待されたひとの証人尋問

   

九日目

-最後の証人、容疑者の元妻の証人尋問の是非について。裁判所は、元妻から宣誓書が届いたが、充分ではないので、さらに宣誓書を待っていることを表明。

-事件の2日前に潜水艦に招待されたひとの証人尋問で、以前までは家族で招待してくれる感じだったのに、突然容疑者のメッセージの雰囲気が変わり、彼女だけを招待してきたことにおかしな印象をもったと証言。たまたまデンマークにいなかったので断った。

-検察側が、容疑者がインターネットで殺人ポルノをみていたと供述。

 

十日目

-医者からの宣誓書があったとして元妻の証人尋問の取り下げ決定。

-検察側の物証陳述。容疑者が来ていた服についていた血痕の分析結果、精神鑑定結果、事件当日にドキュメンタリー撮影されたときの映像、エンジニアのホームページに掲載された容疑者の記事について読み上げ。

 

奇しくも、日本のドラマで刑事専門弁護士のドラマに嵌っていたので、本物の裁判の経過をみるのはとても興味深かった。が、ドラマではすっきりまとまるけど、当然現実世界ではもっと複雑なわけで。。

はっきり殺人であることを証明するのは難しいが、遺体がみつかるまで容疑者はデッキと内部とのドアが被害者に直撃して亡くなった、と言っていたのが、頭部がみつかったとたん、ドアが閉まり、モーターによって空気が吸い上げられ、窒息で亡くなったと、言うことを頓挫させたのと、被害者が亡くなったあとにどこにもSOSを出さず、挙句に遺体を切断しているので、事故としてはあまりにも苦しい材料がそろっていると言わざるをえず、殺人罪として求刑されると思うが。。

でもそれ以上にわたしの心をうったのは、被害者の恋人の証言である。

つきあって1年足らずだったらしいが、被害者は若いのに夢にあふれた野心的なジャーナリストで、だからこそ、中国への移住が間近に控えていたのに、最後の取材チャンスといって潜水艦ツアーに行ってしまったほどで、そんな生き生きと人生を謳歌していた彼女との将来こそ彼の生きがいになっていただろうに、送別会のかたわら、なかなか帰ってこない彼女を待っていた心境はどんなものであったのか。。

娘が帰ってこなくて、いてもたってもいられなくなって、その彼のようにウロウロ徘徊したことは何度かあるだけに想像できる。。

悲しすぎる事件である。