Wasteland | いまのしゅんかん

Wasteland

 

昨日、デンマーク建築センターで「Wasteland」という、廃棄物から家を建てるという展示をみにいった。

 

4年くらい前から廃棄物関係のプロジェクトがぽつぽつ入るようになったこともあってかなり興味のあるテーマであり、以前から建築のバッググラウンドをもつ友達とデンマーク建築センターにたまに行っていたこともあり、久しぶりに展示会を見にいこうと、オープニングセレモニー込みで行ったのである。

それがいつもにもましての盛況ぶりでひとがぎゅうづめ状態、環境食糧大臣Esben Lunde Larsenの挨拶付きという大掛かりなイベントで、今回は建築関係だけではなく別の業界からも参加者が殺到したことを伺えた。

 

今わたしが携わっている廃棄物関係のプロジェクトは、クライアントからのコンサル仕事とはいえ、もともとの予算は自治体からきているし、別のリサイクルプロジェクトは環境省からのグラントでやっている。いかに、廃棄物のリサイクルによる「持続可能」システムに対して、政治的に関心がもたれているということであろう。

 

デンマークは、自治体によるが、わたしが住んでいるところは今のところ自宅では生ごみを含む一般ゴミと植物ゴミ、巨大ゴミが回収されるようになっていて、ガラスと新聞紙、電池は公的スペースで捨てられるようになっている。

以前住んでいたところでは、それにプラス、プラスチックと金属ゴミが自宅で回収されていたが、今のところでもいずれはそうなるらしい。というか、今金属ゴミは市のリサイクルセンターに行かないと捨てられないので本当に不便で、早く金属の廃棄容器が来て欲しいと思う。

しかし、一般ゴミはその後の分別もなしにすべて焼却されることになっているので、焼却灰の金属含有量は高く、デンマークで埋められず、外国に送っているらしい。アルミニウムくらいだったら問題ないが、鉛の含有量も高い。結局簡単だからと、本当は捨ててはいけない電池やエレクトロニクス関係のものも一緒に捨てられているからということ。確かに公的回収スペースやリサイクルセンターにもっていくのは面倒くさい。

一般ゴミから金属が回収されればいいのに、と思ったが、それはできないようである。やっぱりそのコストが高すぎということなのだろう。

ちなみに、イギリスは焼却設備がないのか、デンマークにイギリスの一般ゴミが来るらしい。そのかわり、デンマークはスーパーで回収されるペットボトルや空き缶も含めた資源ごみがドイツなどの外国に行くそうだ。あらかじめ課金しておいて消費者に回収を促すのはスマートだが、資源ゴミを集めた後の、プラスチックの溶融、金属ゴミの溶融などの処理は外国で、ということらしい。

それをもっとデンマーク内で処理できるようにしょうという政治的関心が強まっているのだと思われる。

  

確かに、廃棄物のリサイクルで建材を作って家を建てるというのは面白いプロジェクトだな、と思った。たぶんそのプロトタイプを作るのに金に糸目をつけず、相当大きなプロジェクトになったのではないかと。

ただ、同じタイプのゴミに分別するのにまたエネルギーを必要とし、さらにそこから建材として使える材料にするのにまたエネルギーがかかるので、コスト的には実は普通の建材よりもお金かかったのでは?と思ったが。

以前、うちの学科で、アルミニウムのリサイクルでどれだけ不純物が表面処理に影響するかというプロジェクトがあったが、案外と簡単なことではないようであった。

ゴミ焼却で出る熱を地域供給熱にするのはスマートな「持続可能」システムだな、と思ったが、エネルギーとして変換することは比較的容易でも、材料資源として変換するのをコスト的に見合うものにするのは難しいのかもしれない。

それでも今後はやっていかざるをえなくなっていくとは思うが。。。

 

廃材から作った家。木くずを床材にしたり、紙ごみを断熱材に、アルミニウム缶を溶融して成形し直しして壁材に。

 

分別されたゴミ。これが難しいが。。

 

リサイクル建材。

 

プラスチックボトルの壁。といっても本当の壁ではなく、パーテーション。