わたしの好きな本 | いまのしゅんかん

わたしの好きな本

寝る前に読まないと気が済まない漫画本を日本から何冊も取り寄せてきたが、本棚に入らないためダンボール箱に保管しクローゼットの中にしまっていたが、そろそろ箱に納まりきれずあふれかえってきたので、本棚を新たに購入した。

スペースに余裕ができたので、それまで本棚の中で山積みにされて取り出しにくくなっている本も移動させようと整理したのだが、漫画本はともかく、普通の本は本棚に入れるとなかなか読み返すことがなく、整理して久しぶりに目の当たりにする本も多く、ふと懐かしくなった。

 

現実主義のわたしは、小説をほとんど読まず(漫画もエピソードが具体的なリアリティのある作品が好きである。)、唯一好んで読むものといえば、実際にあった話をもとにして書かれるような山崎豊子か宮尾登美子くらいなのだが、あとは大体、理科系の本だとか、歴史の本、育児に関する本、経済に関する本ばかりである。あとは、島根にいたときにフェミニストの本にも嵌り、その本もいくつかもっている。そのときに専業主婦を経験したせいもあるが、島根は共働き率が高く、女性のためのワークショップが非常に盛んで、その風潮に影響されたことも大きい。

育児の本は、店頭では売っていない、ワークショップで購入した本ばかりだが、非常に影響を受け、いまだにその本に書かれたことがわたしの中に根強く残っている。

子育ては植物を育てるようなもので、地道に日光にあて水をあげ続けて気長に成長していくのを見守るしかなく、決して強制的に枝を引っ張ってはいけないのだ、と。子供に何かを学ばさせるには、決して叱ったり口うるさくしたり罰を与えることで強制するようなやり方ではなく、親の生きざまをみせなければならない、と。特に、著者の子供が修学旅行で新しくカバンか服が欲しいとねだってきたときに、不器用な奥さんがパジャマを一生懸命夜な夜な作ることで子供の願いを受け入れようとしたことで、子供はそこまでして自分のきもちに応えようとしてくれたことを認識し物を得ることがそんな安易ではないことを学んだというエピソードにいたく感動し、不器用なわたしもできる限り手作りしようとしたものである。島根にいたときも、おままごとセットはすべて手作りしたが、デンマークに来た当初も本気でお金がなかったので、娘が郵便局でおもちゃが欲しいと言ったときも、トイレットペーパーの芯でポストを作り、小さい封筒も作って郵便局ごっこをし、Bamseの家が欲しいといえばダンボールで家を手作りした。かといって、今、娘が物を大事にしているかというと、、、非常に微妙なところであるが。

でも今でも、子供は、自分を映す鏡なのだと心しているつもりである。

 

しかし、日本ではたくさん本があって、一時帰国するたびに本屋でクラクラするほどであるが、そこまで影響を受けるというか、わたしにとっての良書を得るのは非常に難しい。

 

そんな中、最近借りた本で、久しぶりにこれは、と思う本があった。

それは、河合隼雄の「カウンセリングを語る」である。なんと初版は1985年でもう25年も前に上梓されたものだが、今読んでも新鮮と思えるような内容であった。

一番印象的なことばは、なんでも二面性があり、いいことがあれば、必ず悪いこともあり、いいことだけを追求するのは不可能であることを認識すること、である。そして、完璧な人間など存在しない、ということも。

結局、もってないものに対して苦しくなるかどうかは本人の問題であって、カウンセラーは手助けするだけで、結局クライアント(カウンセリングを受ける人)自身が自分の苦しみに向き合い乗り越えるしかないのだと。

わたしは、島根で再評価カウンセリングのワークショップに参加し、カウンセラーもクライアントも両方経験したので、ものすごく納得した。それまでは、苦しみは誰か(もしくは環境)に解消してもらえると思い込んでいたが、結局苦しみは自分の中にあるのだと認識したからだ。

今でも、ときどきやりきれない孤独感に襲われることがあるが、自分がさびしいと思っていることをすんなり受容できるようになったと思う。前は、孤独な自分が恥ずかしく認識したくなかったが、今はそれに恥じることはなく、すっと「ああ、自分は孤独なんだな。」と思えるようになった。そして、自分の嫌だった部分も、すんなり自分の一部だと認められるようになったと思う。

 

デンマークでは、お店が充実してないため、買うことは激減した。

そのかわり、娘につきあって図書館にいくついでに、たまに本を借りている。今までのヒットは、Ulrik WilbekJeg var der selvである。ハンドボール関係だったら途中で投げ出さないだろうと借りたが、思ったよりも面白かった。選手の技術だけではなく、監督が選手のメンタルをうまく管理することが非常に重要なことなのだと。

また読み返したいので、ネットで買ってしまおうかな、とも思っている。