家の購入事情 | いまのしゅんかん

家の購入事情

わたしの指導教官が、プロジェクトのファンドを獲得した。

まだ未定だが、そのプロジェクトはわたしのバッググラウンドに近いので、わたしが携わる可能性が高く、どうやら4月以降も首がつながりそうな気配である。わたしの興味のあるエレクトロニクス関係で、しかもわたしの専門分野内のテーマなので楽しみである。

しかも、大学の後輩もこのテーマに携わっており、なんと指導教官はその後輩とメキシコであった学会で会って、彼の発表に対していろいろ話したらしい。

この世界は狭い。元夫の前に少しだけつきあっていた元彼は実は指導教官と連絡をとっていて、デンマークに来たこともあったらしい。今でも連名で、その元彼にクリスマスカードを送っている。

そういう居心地のよさから、島根にいたときにまたこの世界に戻りたいと、デンマークまできてしまったわけだが。

そんなわけで、わたしと夫の夢も再びふくらむのだった。

そんなとき、ちょうど家を買ったばかりの同僚とはちあわせて、いろいろ根掘り葉掘り聞いた。

結構デンマークではお金に関してぶっちゃけているので、値段を聞くこともタブーではない。

デンマークでは、未曾有の好景気に沸いていて、国民の収入が増大するに伴い、多少インフラが進んでいるのだが、公定歩合が下がって安くお金を借りることのできる今は、一生ものの投資ともいえる家の値段はそのインフラ曲線からかなり逸脱して高くなっている。

この5年で、3倍の値段になったともいわれている。

で、今年の1月くらいまで、値段がどんどん上がっていくので、争うように人々は家を求め、購入することが難しかったのだが、今は購買欲がおさまり、逆に家を売るのが難しくなっている。

一回、オープンハウスを見に行ったら、そのあと何度か不動産会社から電話かかってきて、「家を買う予定はないのか?」と聞いてきたほどだ。どんなに時間を割いても売れるまで何のfeeもない不動産やにとっては、売ることは死活問題である。

同僚が購入した家は、前住者の趣味で、黄色や緑、オレンジなどの奇妙な色で壁が塗られていたため、彼以外誰もその家に興味をもたなかったので、彼の思惑通りに値段交渉ができたらしい。

彼は、3ヶ月間壁のペンキ塗りに時間を費やしたが、そのかわり、思いのほか安いコストで2002もの大きな家を買うことができたのである。

今年の頭まで争うように家を買い求めた結果、現在、デンマークでなんと4000人もの人が2つの家を所有しているのだという。

わたしたちが見にいったオープンハウスのオーナーも、すでに別の家を買ってしまってたらしく、やたら売ることに熱心で電話もかかってきたほどだったが、毎週その値段をチェックしていたら相当下げていた。見に行ったときよりも一ヶ月後には1,000万円も下げていて、結局売れたけれど、バイヤーとの交渉でもっと下げたのかもしれない。

それもあり、皆買うことに慎重になっているというのもあるのだろう。買っても、現在所有している家もしくはフラットが売れる保障が今はないから。

わたしたちは、家を所有しているわけではないから(厳密にいうと、部分的オーナー)、それほど買うことに慎重にならなくてもいいが、それでもこの状況でバイヤーの方が強気でいられる以上、まぁ様子をじっくり伺って、納得のいく物件を探していくことになると思う。

それに、高い地域であるにもかかわらず、わたしたちは現在住んでいる市にとどまりたいと考えている。

それは、娘の通う公立の小学校がとてもいい学校だからである。というか、娘のクラスがとりわけ優れたクラスなのである。

まだ幼稚部なので勉強で、というよりも、クラスメート間での関係が大変よく、誕生日会の様子をみても、大体デンマークでは特定のグループで遊んだりするのに、娘のクラスはみんなが誰とでも遊ぶ、という感じで、娘も特定の子だけでなく何人もの友達の家に遊びに行ったりしている。保護者同士でも、いいクラスでよかったね、と言い合うほどである。

だから、これからの10年間、このクラスにいつづけさせてあげたい、と強く思う。

とはいえ、わたしも、この先どうなるかわからないのだが。。。