彼の誕生日 | いまのしゅんかん

彼の誕生日

9月23日は、彼の35歳の誕生日だった。

そのため、24日の土曜日に、ささやかな誕生日会を開くことを企画した。

ところが、オランダに住む彼の弟が、22日の彼のお母さんの誕生日にあわせて一時帰国するといい、24日は友達の家に行くので、23日にわたしたちのところに訪問したいとのこと。

金曜日なので何も用意できないというと、お父さんがピザをとるからということで、わたしたちのアパートで夕食をとることになった。

、、が、お母さんが手術後の経過が思わしくなく、処置した膝が腫れてきて、お父さんは来れないという。

何も用意できないので、食事はキャンセルしようとしたが、23日に彼の息子さんがひどい咳で彼が家で子供の世話をすることになり、そこへ弟がやってきて結局そのまま夕食も我が家で一緒にとることに。。。

誕生日にあわせて、前の晩作っておいた彼の好物であるエビグラタンがあり、それに、サーモンフィッシュとバケット、前に作って冷凍保存しておいた春巻を解凍し、ルッコラサラダを新たに用意して夕食を一緒にした。

娘は弟がお土産にもってきてくれたアイロンビーズに夢中。

夜、彼のお父さんと電話で話をする。ついに、彼のお母さんは、手術した病院とは別の病院で感染している可能性を示唆され、そのまま入院することになったとのこと。

翌日の夕食に招待した。

24日。

買い物と、食事の準備と、娘の体操教室でてんてこまい。

ついに、彼の息子さんが発熱。はちみつレモンで水分補給。

4時半ころ、彼のいとこと彼のお父さんがやってきた。

お父さんは、クライアントとのトラブルと、お母さんの感染問題で、憔悴しきっているようだった。

今フリーのいとこに、「語学学校には、この国の男性のボーイフレンドを欲しがっている子けっこういるみたいだよ。」と言ったら、お父さんが、「語学学校に年収いくらで、フラットがあるというようなことを書いたプラカードを下げて歩いてみてごらん。」と冗談でいったあと、「でも、愛のない打算的な結婚は一度経験するだけでもう充分だよ。」と。

7時ころ、お父さんはお母さんのお見舞いに行くために、そこをあとにした。

いとこはお泊り。夜、一緒に「千と千尋の神隠し」を観る。日本のバックグラウンドをまるで知らないいとこは、わけがわからないようであった。

もう限界で先に寝る。

25日。

10時半ころ、彼のいとこは出て行った。午後、研究ファンド獲得のためのプロポーサルを作成しなければならないという。なかなか研究を続けるためのポジションが得られないうえに、ガールフレンドもできない彼は悩み多き青年だ。悲壮感はあまりみられないが。コミュニケーション能力を向上させるための自己啓発セミナーにも参加しているとのこと。

本当は、わたしのおごりで美術館に行く予定だったが、息子さんが調子を崩しているのでキャンセル。

娘とわたしだけでプールに行く。

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ちょうど一年前、わたしは、日本である国際会議に参加するため一時帰国した。

この国を発つ前日である22日、ちょっとした出来事があった。

去年の9月22日、彼の誕生日をお祝いするため、一緒にレストランに行く約束をしていた。

ところが、保育園で会えず、そこから彼の自宅に電話したところ、奥さんの妨害が入った。

「わたしは、まだB(彼)の夫なのよ。もう、うちに来るのはやめて。電話ももうしないで。」

セパレート期間で、所定期間過ぎれば正式に離婚する予定であるはずの彼らなのに、彼女のセリフは矛盾だらけでわけわからなかった。

しかたなく、まだ会ったこともない彼のお父さんに言伝を頼んでみることにした。

こんな状況であるにもかかわらず、彼のお父さんは親切に応対してくれた。

「先のことはどうなるかわからないけど、できる限り助けてあげるから。」

結局、彼と彼の息子さんは我が家にやってきて、一緒にレストランに行くことができた。

でも、元奥さんの妨害で、やっぱり彼と関係を維持するのはダメかもしれないと思った。

翌日の9月23日、朝の7時ころ空港に行くべく、アパートを出ようとした。

すると、彼がアパートの前に立っていた。駅まで、荷物を運ぶのを手伝うという。

彼は、本当に離婚するつもりであること。

わたしとは、本気でつきあっていきたいことを言ってくれた。

駅で別れて、すぐに彼のことが恋しくなった。

いつもは心躍る日本への旅路も、恋しさで苦しいばかりだった。

3週間後、日本から戻ってきてしばらくしてから、彼のご両親と初対面を果たした。

そのとき、元奥さんのあのセリフが、彼に対する嫉妬心ではなく、単に近所に対する世間体を気にしてのことだったと知るのだった。

その瞬間から、彼女のことが大嫌いになった。

1年後の今、状況は一変した。

彼女は、彼の助けを得られないばかりでなく、このアパートに来ることさえも許されていない。

でも、彼も、彼のお父さんも幸せそうだ。