長い一日
7月27日。息子さんの本当の誕生日。保育園での誕生日会のために、前日彼は遅くまでケーキ作りとパン作りに励んでいた。生イーストが足りなくなり、遅くまで開いているスーパーに買出しにも行っていた。
当日の朝、プレゼントを渡した。
息子さんには、レゴの頑丈なラジコン、娘にはあるキャラクターのノート。
それで、リビングにプレゼントをひろげ、組み立てなどをしていた。
わたしはロングランの実験があるので、7時半ころには家を出た。
4時に帰宅。
アパートの中はものすごいことになっていた。
パンくずと、ラジコンについていた発泡スチロールのくずで。
しばらくして彼と子供たちも帰宅。
急いで夕飯を作り、食べてからまた外出の準備。
そう。誕生日ということで、遊園地でやっているショーを観に行こうと提案したのだ。
着いたら、劇場の前は大混雑。
いつもは椅子に座ることができるのだが、座れないだけでなく、立ち見の観客も大勢いて、肩車しないと子供たちは観ることができないほどだった。
だけど、やっぱりパントマイムは面白い。
古典的なラブストーリーではあるのだが、オーケストラミュージックに、バレエダンシングが雰囲気を出しているし、ピエロの滑稽さが味を出している。
終わったあと、次のショーの予定を確認しようと劇場舞台近くの掲示板を見にいったところ、予定されていたバレエショーはダンサーの病気とかで中止。
しかし、このとき彼がディレクターらしきひとと話をし、このあとの劇場見学ツアーにもぐりこむことを承諾してくださったのだった。
なんと、この劇場ツアー。特別なルートじゃないとチケットを入手できないらしい。もちろん、彼も一度も劇場内を見学したことがないほど。滅多にないチャンスに興味津々で入らせてもらったのだった。
1870年ごろに建てられたというこの劇場。
基本的にそのまま維持するようにしているとかで、非常に年季の入った建物であった。
舞台下から舞台上に出れるようなエレベーターもあるのだが、手動だし。
背景の入れ替えも、6人のスタッフで手でやっているそうだ。
舞台横に、幾重にも背景のボードが重なっていて、必要なボードだけ舞台中心側にスライドさせて観客に見せるのである。
天井をみると、何種類もの背景の布のロールがみられた。
ストーリーや演技も、昔のスタイルを残しているのだという。
衣装部屋や、俳優さんたちが待機しているところや、舞台下なども見学できて、とても面白かった。
バレエダンサーは全員が外国人とのこと。
この国では志願者がいないそうである。
やっぱり、普通のバレエとはかなり違うし、希望者が少ないのだろうか。
エンターテイメントであることには、両者変わりはないが。
そのあと、コーラを飲みながら、乗り物もひとつだけ乗り、2回目のパントマイムを観て遊園地を出、家に着いたのは10時近かった。
しばらくして、元奥さんから電話があった。彼が今日一日のことを説明し、そのあと息子さんと少しだけ話をした。
むこうの時間で、2時か3時くらいだろう。もしかしたら、不在中に電話していたのかもしれない。
息子さんは、電話が苦手で、長いことお母さんを恋しがっているのに、あまり話はせず、うなずくだけ。
わたしたちは、とてもいい誕生日を提供できたと思っているが、彼女はどう思っているのだろうか。
劇場内。ピエロ役の男性が説明してくれた。

