怒りがもたらす困難(1)
「憎む」って、本当に不毛な感情だと思う。
できることなら、悪い感情を一切もたずに、平穏に暮らしたい。
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金曜日、彼の元奥さんはわたしたちの住むアパートに近い公営住宅に引越しをした。
前日にお願いされた引越しの手伝いを彼は拒んだが、結局当日も寸前まで再三の申し出をしてきた。彼はその度に断り、その現場には行かなかった。
しかし、引越しがすんだであろう時間の直後、今度は「1時間くらい、K(息子さんの名前)を引き取りたい。」と、電話による申し出があった。
彼はその申し出を受け入れるつもりであったようだが、わたしは「ダメ」と頑なに断った。
「今回この申し出を許したら、徒歩で10分くらいのところに引越ししてきて、これからもきっと寸前に引き取りたいと言ってくると思うよ。だって、ここまで近いから、思い立ってすぐにここに来ることが物理的に可能なわけでしょう?でも、わたしはそれをして欲しくない。一日前にアポを取って、ちゃんとお互い納得いくように計画を立ててから引き取ることが礼儀だと思うから。もし、突然の訪問を許していたら、わたしたちは彼女に振り回されることになるよ。じゃ、何、彼女が1時間引き取りたいって、その間わたしたちはどこにも出かけられず、ここで待ってろということ?そんな束縛を一体何回されるわけ?彼女が会いたいのもわかるよ。でも、Kは彼女のものだけではない。わたしたちが責任をもって養育をしている子供でもあるんだよ。最終的には彼女からこっちが責任をもってKを引き取らなければならないわけでしょう?そういう状況を理解しながら、彼女の欲求を満たすべきなんじゃないの?」
で、彼はそういうわたしの意見を彼女に説明したようだが、彼女はすっかり逆ギレしてしまったようで、彼女の母親同伴で我が家にやってきたのだった。
それで、アパートの建物の外で、彼が彼女と話し合ったのだが、彼女は自分の要求を言うだけ言って、ちっとも彼の言う事を理解しようとしなかったという。
結局、その場で、息子さんを9日間引き取ると言って、連れ去ってしまったのだった。
「でも、9日間もKの面倒なんてみれないと思うよ。大体、3日間の約束でさえ、2日目でギブアップするぐらいなんだから。」
「でも、今回は彼女の母親が夏休みでKの面倒をみるって言っているから、できるんじゃないかな。母親の方がまだ信用できるし。」
「そうはいっても、すでに子供から手が離れて常に自由である身の人が、急遽子供の面倒をみるって大変だと思うよ。極端な話、買い物だって、子供がいることで思い通りにならないこともあるわけじゃない?わたしは、9日間たつ前に、きっとギブアップすると思う。」
そしたら。
なんと、月曜日、彼は息子さんを保育園から引き取ってきたのだった。
たった、3日間でのギブアップだった。
2時ごろ、彼女から、息子さんを保育園に連れていったが、自分では迎えにいけそうもないので、かわりに彼に迎えに言って欲しいと申し出があったとのこと。
保育園から引き取ってから、彼女のところに息子さんを連れてきて欲しいと頼まれたが、彼は断ったという。
「ほら、わたしの予想した通りじゃない。彼女はすぐに約束を破るから、それでわたしたちが振り回されるって言っているの。一体、いつ約束破るかも予測できないし。それで何、これでKが戻ってきても、またすぐに彼女がまた引き取りたいって言ってくるかもしれないじゃない。それすらも、こっちはわかりはしない。」