Tという人々(1)
彼の元奥さんが、6月半ばから、わたしたちが住む市の公営住宅に入居することが決まったそうだ。
立地条件がとてもよく、デポジットはバカ高いものの、家賃は破格に安い彼と同じアパートに固執していた彼女であるが、一向に入居できるチャンスがむぐってこず、2つも又借りし続けていた彼女。
1つめのアパートなど、家賃が12万円であるだけでなく、敷金だけで36万円ほど払い、しかも退居しても返ってこなかったという。。。
2つめはまだ良心的な物件ではあったが、やはり立地条件はよくなく、家賃も決して安くはない額。
しかも、又借りであるゆえに、住民登録もできず、仕方なしに彼の両親宅で住民登録していたという。
それで、さすがに焦ったのか、珍しく一人で市役所に行き、公営住宅入居の申し込みをしたそうだ。
申し込みから2週間という早さで、あっというまに入居が決まった。
もし、去年の9月に正式にセパレートしてから、すぐに公営住宅の申し込みをしていたら、、、
12月の期限ぎりぎりまで彼のアパートにいる必要はなかったばかりか、2つも又借りして無駄な出費もしなくてすんだのに。。。。
いくら彼と同じアパートに住むことにこだわったとしても、暫定で公営住宅に住み、そのチャンスがきたら移ればいいだけのこと。それによる損害など、ほとんどない。彼のアパートからも近いし、何よりも家賃が格段に安い。
なんという、無駄なことをしたのだろうか。
「B(彼)と一緒だとラクだし、それに、できる限り、Kと一緒に住みたかったのだろう。」
と、お父さんは言う。
確かに、経済的には彼に依存したままだし、家事もすべてやってもらえる。何よりも、好きなときに息子さんと遊べる。おいしい環境であるに違いない。
でもそのために、わたしたちは干渉されてきた。
9月に正式にセパレートして、もはや婚姻関係は断絶したにもかかわらず、あたかも妻であるかのようにその立場をさんざん利用しつづけ、彼に家事労働を強要し、金はしょっちゅう無心し、わたしが電話すればすかさず邪魔をし、本当につらい日々だった。彼の貯金は常に0だった。
去年の12月は、最長3ヶ月の同居の抵触を避けるために、彼と息子さんがアパートを出て、彼の両親宅に1ヶ月間仮住まいまでしたのである。もちろん、彼が家賃、光熱費の負担をしている。
もっとも、彼女は、この国の法律をよく理解していなかったらしく、セパレート=ほとんど離婚、であることを知らなかったそうだが。
彼女が、名実とともにこの市に移ることに対して、正直なところ複雑なきもちもあるが、同じアパートではないことにホッともしている。公営住宅なら、家賃も安いし安定しているから、敷金で150万円ほども必要とされる彼のアパートは諦めることになるだろうと思う。
最初は、息子さんのために、同じアパートであることが好ましいと思っていた。
でも、育児の知識がないくせに、5歳の娘がハサミを使っているだけで文句言ってくるなど、つまらないことで干渉してきたり、さんざん約束を破ったり、とにかく相手の状況を慮らずに自分のペースを貫こうとする元奥さんに、わたしたちの生活がわずらわされることを恐れるようになってきたのだ。
例えば、この日に息子さんを迎えに行くといっても、直前にキャンセルしたり、7時に来るといっても来なかったり。こっちだって、外で遊びたいとかあっても、彼女が来るとなると自宅待機である。
同じアパートになったら、近いことの便利さにますますマイペースが加速されて、突然やってきて息子さんを引き取りたいとか、あるいは翌日まで引き取るはずがやっぱりその日に息子さんが戻ってくるとか、ころころ予定を変えそうでその度にわたしたちが振り回されそうで怖いのだ。
最終的には、彼にも彼のお父さんにも、
「かきまわされそうだから、同じアパートはいやです。」
と訴えたが。もっとも、彼もガールフレンドがいなかったとしたら、新しい家族がなかったら、彼女と同じアパートがかえって好ましかったかもしれないが。
それで、幸い双方にとっても好条件な公営住宅の入居が決まったのであるが、そこで、新たに彼のお父さんから借金をしたいという申し出があったそうだ。