慟哭(2)
そういうきもちを彼と彼のお父さんにぶつけ、一応彼らは理解してくれ、子供たちも一緒に皆で彼女のところに行くことになった。
文句のひとつでも言って、今後アテにしてこないよう釘をさそうと。そして、今は彼には新しい家族があるのだから、今までのように、彼を困ったときには助けてくれる便利な人と思わないで欲しい、と訴えようと思ったのだ。
それでドキドキしながら行ったのだが、案の定というか、彼女はわたしのことなどハナから無視。
「もうアテにしないで。」といったけれど、彼女の耳には届いていないだろう。
しかも、彼は、本当に彼の力を必要とされる重い家具以外の荷物に関しても、業者以上に甲斐甲斐しく運んでいる始末。
そして、娘も。
娘は本当に働くことが好きというか、大人のやることを真似するのが好きである。何回も何回も往復しては、娘も運べそうな軽いもの、ベッドのパーツや紙袋、ソリなどを一生懸命運んでいた、、、。
きっと彼らは、評価されるとか一切関係なく、掛け値なしに働くことが好きなんだろう。
かれこれ30分くらいたっただろうか。すべて荷物を業者の車に積んだあと、新しい住居のところでは隣人に頼むということで、彼は帰れることになった。
というか、荷物を見た限りでは、他の助けがなくとも、彼女と業者の人だけで対応できそうな感じだった。
帰り道、わたしは悲しくてしょうがなくて、車の中でずっと泣いていた。
今回思ったことがある。
彼女は、頻繁にメールや電話をやり取りする友達は多いかもしれないが、しっかりとした関係を築いている人は少ないであろうということ。
彼女は、去年の9月ごろ、甘いささやきあいをしていたあたり、きっと恋人がいたであろうと思うのに、クリスマスの時期は孤独なようであった。
そして、今、細かいことも含めて、少しでも困ったことがあればいちいち彼に電話してくるあたり、恋人はいないことは確実。
詳しい事情はわからないが、11月ころに言い合いっぽいやり取りを彼は聞いたそうだ。きっとそのころにすでに破局していたのかもしれない。
基本的に明るい気質をもつ彼女は、恋人や友達を作ることも容易であるかもしれない。
だけども、相手に誠意のない対応をしていれば、安定した関係は築けない。
どんなに失礼なことをされても受け入れる彼のような人は、他になかなかいない、稀な存在といえよう。
わたしは、はっきりいって、彼のようにはとてもなれない。
わたしは、彼女にわかって欲しい。
自分が社会の中にいる一人なんだってこと。
人と人と、お互いに影響を与え合って生きているんだってことを、認識して欲しい。
自分の都合どおりに周りが存在していないんだってことを、認識して欲しい。
だけど。
彼女は、きっと、ちっともわかってないんだと思う。
だから、彼にきっぱり拒否して欲しかった。