高校生~出会い編~Ⅵ
階段を上がってすぐの3Fの空き教室。
ドアに小窓がついていない為、2人がいるのかは確認できないが、微かに声が聞こえるので、誰かはいるのだろう。
キィィ
少しドキドキしながらドアを開ける。
すると、入ってすぐの教卓に敬先生が赤ペンを持ちながら座っていて、突然入って来た私を少し驚いた表情で見ている。
(あぁノックし忘れた…)
一瞬敬先生と目が合ったが、恥ずかしくなって、すぐに逸らす。
亜依「あっ!京香ちゃん。遅かったねぇ」
真樹子「あたしたちはもうすぐ終わりそうよ」
私「そっか。遅くなってごめんね。話が長引いちゃって…」
すぐさま振り替えって平静を装いながら、敬先生に話しかける。
私「佐藤先生。私も追試を受けたいんですけど…」
敬「えっと栗原さんだよね?」
追試者リストを見ながら先生が答える。
敬「下校時刻まで30分しかないけど、大丈夫?」
私「…何とか頑張ってみます」
佐藤先生…。学校には数人この苗字の先生が居るが、私は先生を目の前に下の名前で呼べない…。他の人が『敬先生』って気軽に呼んでいるのが羨ましい…。
空いている席に着くときに、周りを見渡すと亜依ちゃん、真樹子ちゃん以外に、チカちゃんと同じクラスでチカちゃんと仲がいい美紀ちゃん、恐らく敬先生の担当クラスの男の子2人、女の子3人が居た。
他のクラスの5人は私が大問1を終える頃には帰ってしまったが、他の4人はまだ残っていた。
尤も、亜依ちゃんと真樹子ちゃんは私を待っていてくれたのだけど。
チカちゃんと美紀ちゃんは敬先生に採点してもらっていた。
敬「っと。チカさん、布川さん合格!お疲れ様。」
チカ「ありがとうございますっ」
美紀「あの、先生ぇ。ちょっと質問したいんですけど、いいですか?」
敬「んーどれどれ?
あーこれはね…傾きが…」
問題を解きながら、目の前の光景を羨ましく思う。ただの質問なのに…。
けれども、その時の美紀ちゃんの笑顔が恋する女の子の顔に見えた。
(あぁっ!もう!頭がぐちゃぐちゃだ!問題に集中集中!)
キーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーン
下校時刻を知らせるチャイムが鳴る。
質問が終わったのか、チカちゃんと美紀ちゃんは私に「頑張ってね!」と言い残して帰っていった。
最後の大問を解きはじめた時、前方から声を掛けられた。
敬「栗原さん、今何問目?」
私「えと、今最後の大問に入ったとこです。でも、時間ですよね…」
敬「大丈夫。もし警備員さんが来ても、俺が居るし。続けて。」
私「すみません…」
亜依「大丈夫だよー。京香ちゃん。気にすることないよ♪」
敬「お前がいうなよ。というか亜依さん、真樹子さんはもうテスト終わったでしょ?」
亜依「えぇ、だって京香ちゃん待ってるんだもん。ね、マキ?」
真樹子「そうですよー。あたし達京香ちゃんを待ってるんです」
敬「そうなの?」
私「ごめんね、待たせちゃって…」
亜依「いいのいいの。話しながら待ってるから。」
真樹子「うん。気にしないで」
私は二人に悪いなぁと思いながらも、場合分けを始めた。
亜依「そう言えばこのあいだの体育祭の振り休に先生メール返してくれなかったでしょ~」
気を取り直したのに、ショッキングな会話が聞こえた。