重陽の節句(目で楽しみ、舌で味わい、香りを堪能し、歌って感じる、纏って楽しむ)菊の醍醐味 | 日本文化、世界の歴史・健康・ミライにチャレンジ

重陽の節句(目で楽しみ、舌で味わい、香りを堪能し、歌って感じる、纏って楽しむ)菊の醍醐味

 

皆様こんにちは、昨日の台風の影響はいかがでしょうか。予想外の水害に心を痛めています。
一日も早いご復興を祈念致しますとともにどうかご自愛くださいますように。
 
さて、今日は重陽の節句です。

重陽の節句とは、五節句の一つで、9月9日に祝われる行事です。中国の伝統に由来しており、奇数の日は縁起がよく、特に「9」という最も大きな奇数が重なるこの日が特別視されています。

五節句とは、年間を通じて祝われる五つの節句のこと。それぞれの節句には特色があり、以下に日本での五節句とその特徴をまとめました。

1. 人日の節句(1月7日)
   - 七草粥を食べて、一年の健康を祈願する。

2. 上巳の節句(3月3日)
   - 雛人形を飾り、女の子の成長を願う。
   - ちらし寿司やはまぐりのお吸い物が定番。

3. 端午の節句(5月5日)
   - 五月人形やこいのぼりを飾ることで、男の子の健康や成功を願う。

4. 七夕の節句(7月7日)
   - 願い事を書いた短冊を笹に飾り、夢の実現を願う。

5. 重陽の節句(9月9日)
   - 菊の薬効を活かして健康を祈る。
   - 「後の雛」として、お雛様を再び飾る。

これらの行事は、季節の移り変わりや子供たちの成長を祝い、家族の絆を深めるためのものです。

重陽の節句といえば「菊」が中心となる行事です。この時期、旧暦に基づけば、菊の花が美しく咲き誇るため、「菊の節句」とも呼ばれます。(視覚で楽しむ)
 

菊は古代中国から健康や長寿に効果があるとされていました。4世紀の書物には、「菊水伝説」という話が載っており、これは菊が多く生える谷の水を飲んだ村人たちが長生きしたというものです。この伝説から、重陽節には菊のエッセンスを含んだ水を飲む習慣が生まれました。(嗅覚で楽しむ)

この伝統や菊の薬効の考え方は、日本にも伝わり、平安時代の貴族たちの間で広がりました。そして、重陽の節句として、日本の季節の行事として根付くようになったのです。

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また、上の写真のように菊の和菓子を思う存分楽しむことができます。(味覚で楽しむ)

平安時代の歌合の一つで、寛平年間の内裏で行われた菊の花を詠む詠歌の会を「寛平内裏菊合」と呼びます。この歌会で歌われた菊の歌をご紹介いたします。

「すべらぎの万代(よろづよ)までにまさりぐさたまひし種を植ゑし菊なり」を解説します。

- 「すべらぎの」:「すべらぎ」は「滑らかで」や「良い」という意味です。
- 「万代(よろずよ)までに」:「永遠に」「長い間」という意味です。
- 「まさりぐさ」:「勝る草」という意味で、他の草よりも優れた草を意味します。
- 「たまひし種」:「貴重な種」という意味です。
- 「植ゑし」:「植えた」という意味です。
- 「菊なり」:「それが菊である」という意味です。

つまり、この詠歌は「滑らかで美しい、永遠に優れている貴重な菊の種を植えた草、それが菊である」という意味を持ちます。言い換えると、菊はその美しさや優れた性質で、他の草花を超えて長く人々に愛される花である、という内容の賞賛をしていると解釈できます。(聴覚で楽しむ)

 

 
 

 

 

 

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襲色目(かさねいろめ)は、日本独特の配色法で、衣の内外の色合わせに用いられます。特に秋の時期には「菊」がよく使われるモチーフとして取り入れられています。この際、ただの花の色ではなく、菊の繊細な表情やニュアンスを色の組み合わせで巧みに表現しています。
 
季節にあわせて纏うものにまで自然の移ろいを取り入れてきた日本人の繊細な感性を感じる素晴らしさを改めて考え1日になりました。(触覚で楽しむ)