自分の顔に責任を持つ | 日本文化、世界の歴史・健康・ミライにチャレンジ

自分の顔に責任を持つ

retyu  

「40歳を過ぎたら自分の顔に自分で責任を持て。」と世間では言われていると誰かに聞いたことがあります。

若いうちは、容姿は遺伝など生れ持ったものによるところが大きいからどうしようもないが、大人になって40を過ぎたら自分のあり方・生き方などが反映されてくるものだから・・・という意味なのでしょう。

  

さて、いわゆる性格や行動パターンというのは、小児期から思春期・青年期くらいまでは家族など生育環境の要因を強く受けるものの、大人になってくるとその影響は薄れ、逆に遺伝子的に決定される要因が強く出てくるようになることが言われていました。



例えば、子どもの問題行動や反社会的行動は、小児期から思春期くらいまでは家族など生育環境による影響を強く受けるため「この子がこんな悪いことをしてしまうのは、家族環境があんなだから・・・」ということが言えるのですが、その後は家庭環境要因はどんどん薄れてゆき、代わりに遺伝的・体質的要因が性格・行動パターンの決定要因として大きくなっていくのです。



世間の人たちは30歳を過ぎた大人が「ダメな大人」である理由について「この人がこんなダメな大人なのは、家庭環境があんなだから・・・」とは言わなくなるものです。こうした世間の常識は、今回ばかりは、科学的にも根拠があることが分かっているのです。

  


今回紹介する研究は、あのうつ病の遺伝的研究などで多くの成果を出していることで有名なKendlerらのグループによるもので、

Kendler KS, et al. Genetic and environmental influences on alcohol, caffeine, cannabis, and nicotine use from early adolescence to middle adulthood. Arch Gen Psychiatry, 2008; 65: 674-682.

  です。

例によって大規模な(1796名)双子のペアを使って双子研究を行っており、これによってアルコールなど物質乱用という「困った大人」の代表例となる行動パターンの問題を対象に、年齢別の「生育環境要因」と「遺伝的要因」とがどうなっているかを詳細に調べています。




その結果、やはりこうした問題(物質乱用)についても、思春期から青年期(だいたい25歳くらいまで)は生育家族環境による環境要因が影響しているものの、その影響は次第に減ってゆき、35歳以上40歳くらいになるとほとんど完全に消失してしまうことが示されています。



逆に、その人の生れ持っている遺伝子的・体質的要因は思春期頃の問題行動については大きな決定要因とはなっていないものの、その後次第に影響力を強め、25歳から35歳頃には大きな影響力を与えるようになる・・・・というパターンが見事に示されています。

 


これまで幾つかの研究で思春期くらいまでは子どもの問題行動に対して(それが摂食障害のようなものであっても)家族療法が役に立つ可能性があるけれども、成人してしまうとあまり家族の問題を扱ってもどうにもならなくなってくる傾向があることが示唆されていました。



その理由は、少なくとも1つは、こういうことなのでしょう。25歳頃を過ぎたら、その人の性格や「あり方」の問題はその人自身の責任になってくるようなのです。