今晩は。

本日もこちらのブログにいらしてくださいまして、

誠に有難う御座います。

本日は気圧不安定のせいか体調が悪く、

ブログの更新が遅くなりました。

 

本日も、皆様に楽しんで頂ける事を祈りつつ、

「ジアルの日記」をお贈り致します。

 

「2406年5月19日。

今日の娘のミラは朝からそわそわしている。

夫のエリムが滅多に聞けそうにない、『自分の大失敗』の話を聞かせてくれる、と、昨日約束したからだ。とはいえ、興奮して食欲が落ちるというタイプでもなく、『今日のディナーは貴女の好きなブロスギンの蒸しスープと桃のプディングにしますからね。』と家政婦のミラさんに言われて大喜びしていて、私とミラさんが夕食を作っているキッチンの扉を細く開けて、猫達と一緒に待ち遠しそうにのぞき込んでいるので、ミラさんと笑いながら料理を作ってダイニングに運んだ。夫のエリムとテインも今日は早く帰って来て、食卓を一緒に囲んだ。そして、食事が終わった後、エリムはお茶を飲みながら話し始めた。『随分昔の話になる。私がオーダーの側近直属の部下だったころの事だ。つまり、テインの部下の部下だったんだよ。その時、オーダーの重大な機密が漏れたり、逮捕の決め手になる証拠物件が消えたりする事件が頻発していて、騒ぎになっていた。オーダー内部でも秘密裡に捜査を進めていたのだが、なかなか正体がつかめなかった。私も手ごわい相手を想定して必死になって走り回ったものだ。ところが、半年後に容疑者として挙がってきたのはだな。』と言って、エリムは一口カナールを飲んだ。ミラはその先を聞きたくてうずうずしているが、口は挟まなかった。この子は思った以上に大人になっている。『オーダーに親のコネで入ったバカ息子、と評判の下っ端事務員で、私もよく知っている人物だったんだよ。』エリムはにやりと笑った。『お兄様みたいな感じの人?』とミラは尋ねた。

『それが、エナブランよりは空気や人の顔色が読めるが、頭の回転は人より遅い、と思われている人物だった。かれの恋人が私の当時の上司だった男に無理やり部屋に連れ込まれた直後に自殺してしまってね。個人的な恨みがあったんだ。私は上司に、その男の身柄を確保して尋問し、やった事を残らず吐かせるように、という指示を受けた。私はそのつもりで意気込んでいたんだが、その作戦に入る直前にオーダーの他の地域の中間管理職からつまらない陳情が入ってきてね。上司は私にその役目を押し付けて、自分がその作戦の指揮を執る事にした。私もどうしてもあの男のごまかしを自分で追及したかったから、その陳情を出来るだけ早く処理して、現場に急いで向かったんだが、あの男は臆病なりにもう覚悟を決めていて、私が現場近くに到着したのと殆ど同時に、体に着けていたアルトリチウム爆発物ベストのスイッチを押したんだよ。あの男が潜伏していた空き家の50メートル四方に爆発の被害が及び、もちろん至近距離の人間は全員死亡した。あの男の恋人を自殺に追い込んだ上司は粉々だ。私もお前が知っている脇腹と太ももに傷を負い、大きな血管が切れて手当てが悪ければ失血死するところだった。その時に、臆病で育ちがいい人間には注意すべし、と身をもって学んだんだよ。大きなニュースになり、いい恥さらしにもなった。しかし、いい勉強にはなった。それ以来大きな失敗をした事はないね。』と、エリムは話を締めくくった。娘のミラは暫く考えてから、『その陳情って、テインおじい様が仕組んだんでしょ?』と言ったので、私も驚いた。エリムは苦笑いして、『そうなんだよ。私が気が付いたのは30過ぎてからだったが、お前は頭がいいね。』と答え、舅のテインは、『あの男はわりに使いでがあったが、スキャンダルが少々多すぎたし、当時の頭が良すぎる副官を鬱陶しく思って殺す計画も立てていたからな。そうでなければもう少し生かしておいて使ったのに。』平気で恐ろしい事を言いながら、空になったカナールの瓶を振っている。『お前は可愛い孫娘だから、あまり痛い目を見ずに勉強してもらいたいし、あのお嬢さんはお前に無いものがあるから、いい相棒になるよ。』とテインが仰ると、ミラは神妙な顔で頷いた。あのお嬢さんは、これからミラにどんな影響を及ぼすのだろうか。楽しみにしている。それと、エリムは母に頼んで、2着の晴れ着を作って貰って、今日こっそりとカーデシアに発送していたようだ。そちらも気になる。」

 

皆様も、佳い休日をお過ごしください。

 

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