今晩は。

本日もこちらにいらしてくださいまして、

誠にありがとうございます。

今日は挨拶回りや資料の返却、

買い物で走り回っておりました。

本日も、皆様に楽しんで頂ける事を祈りつつ、

「ジアルの日記」をお贈り致します。

「2406年4月27日。

今日は朝食を終え、仕事に行く準備をしていたら、突然、イリアナさんからの通信が飛び込んできた。エリムがビューアーで通信に応じているが、何か様子がおかしい。すると、実家の父からも通信が来て、『ガラックを出せ!どういう事だ!』と血相を変えている。『どうしたの、お父様。』聞いてみると、『掲示板を見ろ、エナブランの件で騒ぎになっているぞ。』そう言って父は、掲示板の画面をビューアーの隅に表示した。カーデシア貴族向けの掲示板の中身は、「デラン王家の陰謀」という題名の議論でいっぱいになっていた。夫のエリムがこちらに回線を回せという身振りをしたので、父の映像をエリムのビューアーに出す操作をすると、『これはどういう事だ、ガラック!私はこんな事をした覚えがないから、お前が何かを企んでいるな!』エリムが出た途端に父は怒鳴った。『落ち着け、デュカット。私だってあの子を陰謀の駒に使ったりするものか。』父はその言葉に疑いの眼差しで答えたが、『大体、何をするか分からない子を駒になんて使える訳がないだろう。』とエリムが言ったら、ある程度納得したようだった。そう言いながらエリムが掲示板の発言を検索してみると、デラン王家とあまり仲が良くない王族の跡取り息子が、エナブランの館に突然訪問し、お茶の時間を過ごした後に、エナブラン王子は危険なほど有能で、底知れない人物だ、と現当主及び周りの人に言った事がきっかけらしい。取り敢えず今は仕事に行き、時差があるのでエナブランが起きた頃を見計らって通信を入れる事になった。エリムは昨日の夜半に緊急の捜査協力依頼がオデット警察から入っていて、どうも対応を間違えると人死にが出かねない事案のようなのだ。私たちは仕事に行き、夜になって、エナブラン達がカーデシア本星で起床する時刻に家から通信を送った。あの服装に無頓着な子だから、寝ぼけまなこで部屋着で出てくるかと思っていたのだが、少し時間を置いてから、正装をして目をキラキラさせたエナブランがビューアーに出てきた。正装をして出てくる配慮はいいと思うが、目をキラキラさせているのは、何か思いついた事を話したくて仕方がない時の様子なので、少し怖い。

『お父様、お母様、何か御用ですか。』とエナブランが聞くので、掲示板の話をして、何をしたか尋ねてみた。エナブラン曰く、厨房の消火装置が誤作動し、料理もお菓子も消火剤まみれになったタイミングで、自分と同じ年くらいの王族のご子息がブリデザの館に尋ねてきたという。そこでエナブランは、自分が作った林檎の菓子と紅茶でおもてなしし、楽しく歴史議論等してから帰っていただいたそうだ。『お前はあの家のご子息の顔を知らない筈だが。あの人は本当の顔を公開していないからね。』エリムが口を挟んだ。『なんだか来た人たちの中で一番偉そうだったから、分かりました。僕、1年くらい前から動物の群れの中で一番偉い個体が判るようになっていたので。』と、エナブランが答える。そんなことは全く知らなかった。今度は父が、『どうして厨房中が消火剤まみれになったのに、お前の作った菓子だけ無事だったのかな?』と聞くと、『僕の部屋のキッチンに置いてあったからです。』とエナブランは答える。『ブリデザ領主の居室にキッチンは無いぞ。』『はい、だから作りました。ガダラさんのくれた電子書籍にも厨房に入るのは自粛した方がいい、と書いてあったから。』

『だから、自分の部屋にキッチンを作ったわけか。消火装置が作動しない暖炉の中だね。』笑いながらテインが話しかける。『だが、水まわりだけはプロに見てもらった方がいいぞ。事故が起こると困るからな。』『はい、テインおじい様。下の階に水漏れすると困ると思います。』そう言うとエナブランは、『それよりお父様、お話したい事があるの。面白いアイディアなんだけれど、』やはり何か思い付きを話したそうにしている。『いい思い付きなら、企画書を出しなさい。盗用されるといけないからね。私たちはお前の執事のオディルさんと話があるから、明日以降にな。』と、エリムは答えた。世襲宰相老オディルさんの孫娘で跡取りのオディルさんは、呑気なエナブランを心配した父によって、ブリデザ王館の執事として勤めているのだ。そして、通信を若いオディルさんとガダラさんに代わってもらうと、エリムはいきなり『犯人の動機は何だったのかな?』と聞いた。やはり人為的な事故だったようだ。予想はしていたが。もう犯人とその家族はオディルさん達の手の者に確保されていた。犯人は最近厨房に入った見習いの男の子だったという事だ。父親は悪質商法にすっかり洗脳された状態になっていて、家にお金が殆どない状態だった。弟妹達の学費を稼ぐために厨房に入った長男なのだが、例の父と仲が悪い一族の関係者に、大金をちらつかせてそそのかされ、ウィルスプログラムを館のコンピューターに入れたのだという。その子は気の毒にも自分がどう利用されたかを知った途端に自殺を図り、オディルさんの調査員に保護された。父親も事態を知って錯乱寸前の状態になり、代わりに自分を処罰してくれ、と嘆願しているそうだ。精神科の隔離病棟で。『いい機会なので、悪徳商社の洗脳が解けるまでカウンセリングして隔離しておきます。2人とも、ブリデザ島内では失踪状態という事になっています。島のみんなは、エナブラン殿下の体面をつぶしかけたのだから、御父上や祖父上方がただではすませないだろう、と噂しています。どうなさいますか?』オディル女史は言う。『第2宰相としてお伺い致します。女王陛下はどうなさりたいですか?』とエリムが訊くので、私は『息子のエナブランに任せます。あの子は今、企画書に夢中でしょうから、明日の午後にでもエナブランに事件の資料を送って判断させてください。』と答えた。甘すぎる、といいう顔を先王である父はするが、結局「何も起こっていない」のだから、穏便に済ませてもいいだろう。」

 

皆様も、佳い休日をお過ごしください。

宜しければ、こちらもご上覧ください。

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ロドピスホームページになります。

仙台のギャラリーボチュー様の展示品

 

「ギャラリーボチュー」様にて、

展示販売を再開致しました。

金港堂の向かい側のビル3Fになります。