お早う御座います。
本日も数あるブログの中からこちらにいらしてくださいまして、
誠に有難う御座います。
何だかこのごろ体調が安定せず、困っております。
本日も、皆様に楽しんで頂ける事を祈りつつ、
「ジアルの日記」をお贈り致します。
「2406年3月20日。
今日の午後遅くまで続いたカーデシアとベイジョーの会議は、取り敢えず目立った問題なく終わったようで、ほっとしている。私と夫のエリムは何かあれば仲裁に入るつもりで待機していたのだが、必要はなかったようだ。会議が終わった時間を見計らって、エリムが『服でも見に行かないか?』と誘ってくれた。エリムがブティックを開いていたプロミナードの一角のお店は、ベイジョー人の仕立て屋さんが居抜きで買い取って、そのままブティックになっているので、そこを見に行く事にした。私とエリムが初めてきちんと話をした思い出の場所だ。私たちがお店に行くと、お店の女性の店主さんとエリムの知り合いで布地のバイヤーの地球人、オオタさんが布地の話をしながらお茶を飲んでいて、私達夫婦もお茶に誘ってくれた。ベイジョーで捕虜になったカーデシアの職人がレシピを伝えた一口大の「クリームパン」が御茶請けだ。尤も、元をただせばさらに昔、カーデシアの植民地で捕虜になった地球人からこのレシピがカーデシア文化圏に伝わったそうなのだが。
エリムが「娘のミラに仕立ての修練をさせる為の布地は何がいいか」等と話をしていると、息子のエナブランから通信が入った。『お父様、オオタさんはそちらにおられますか?』『ああ、いるけれどどうしたのかね?』とエリムが聞くと、『オオタさんからお話を聞きたいという人がいるので、行っても構いませんか。』と不思議な返事が返ってきた。オオタさんも怪訝そうな顔をして、『構いませんが。』と答えると、通信が切れて、間もなくエナブランと、ブリデザ島の世襲宰相の孫娘のオディルさんと、聖職者ヴェデクの服装をしたオディルさんと同じ年くらいのベイジョー人女性がブティックの自動ドアを開けて入ってきた。エナブラン以外の2人は、びっくりした顔でオオタさんを見ている。私たちがどういうリアクションをしていいものか分からずにいると、エリムが椅子から立ち上がり、丁寧なお辞儀をして、『いらっしゃいませ。当方に何の御用ですか?』と尋ねたので、ようやく訪問した2人の女性がはっとして事情を話し始めた。オディルさんとヴェデクの服装をした女性(この女性は、宗教学も学んでいるそうだ。)は、カーデシアとベイジョーの先ほどの折衝会議で同席し、会議を終えた後でプロミナードの店で相席になってお互いに聖職者同士という事もあって宗教論等を話し合っていたところに、エナブランもラクタジーノを注文したもののテーブル席の空きがなかったので同席する事になった。その時2人は、『2つの宗派の寺院に出入りする者(カーデシア語でもベイジョー語でも、現在は「モラルハザード」を意味するスラングとなっている。)』について話をしていた。その話を聞いたエナブランが、『そういえば、今のカーデシアとベイジョーでは、そういう人はいないね。』と発言し、『ほかの惑星では今でもそういう人がいるの?』とびっくりした2人を連れて、エナブランがブティックに来た、という事だった。『そういう事でしたか。確かに数年前に、ガラックさんとエナブランさんとお会いした時にそのお話をしましたね。』とオオタさんは言い、自分の家はずっと前から仏教という宗教の或る寺院の信徒総代と、神道の或る神社の氏子総代を兼任している、と説明してくれたので、私もびっくりした。その時、私は同席していなかったからだ。しかし、オオタさんはモラルハザード等という事は全くなく、むしろ普通より誠実なビジネスマンである。ロリットさんというヴェデクの方も、オディルさんも予想していたようなヒットマンやクワークのようなカテゴリーの「ビジネスマン」に見える人ではないので、驚いている。『私の今月の給料を全部はたいてでも布地を買いますから、その点をじっくり説明してください。』ロリットさんは言うのだが、『それは困りますよ、生産者様がプライドと愛情を込めたお品なのですから、吟味して気にいったものを買って頂かないと。貴女が興味をお持ちの点はきちんと説明しますからね。』とオオタさんが答えたので、さらに驚いたようだ。そして、オオタさんの説明を一通り聞いて私が理解したところでは、仏教と神道とは、違う宗派どころではなく、カテゴリーが全く違う宗教なのだ。ロリットさんが、『そこまで違う宗教の要人を務めていて、矛盾や良心の呵責を感じないのですか?』と聞くと、オオタさんはニコニコ笑いながら、『どちらも人を幸せにするためにあるものでしょう、宗教というのは。その点は同じではないですか。』と答えた。そして、こういった概念についての資料集をそちらにまとめて贈りますから、とロリットさんに約束してくれた。それからロリットさんとオディルさんは、オオタさんが持ってきた布地を歓声を上げながら見比べて幾つか購入し、すっかり打ち解けた様子だった。今日は興味ぶかい話を聞く機会に恵まれたものだ。船旅も終わり、ディープ・スペース・ナインでもスケジュールが終わって落ち着いたので、家に映像通信を送ってみると、家政婦のミラさんが出てくれて、私の父も母も、舅のテインもエリムの母親のイリアナさんも今家にいる、と教えてくれた。テインはまだ病院に入院している筈なのに。病院の雰囲気が嫌いな処はエリムと似ているようだ。そしてダイニングテーブルでは夕食の最中で、テインを含めた皆が透明な茶色の液体をたしなんでいる。私とエナブランが思わず、『大丈夫ですか?』と声を上げると、私の父とテインは顔を見合わせて笑った。『私たちがいかに復讐したか、には興味がないのかな?』と父は尋ねる。『それより、テインおじい様の具合の方が心配です。』即座にエナブランが答えた。『大丈夫だよ。私だけはお前が作って置いていったジンジャーエールを飲んでいるから。報復の概要は書面にして送っておくからな、明日の夕食の後にでも読むといい。』と、テインは仰るのだが、果たして夕食後に読んでも大丈夫な内容なのだろうか。テインは、必ずリハビリテーションには来てください、とドクター・ベシアに厳命されているがね、と笑っていた。明日にはテインと父が作った書類が届くだろうが、読むのが少し怖い。』
皆様も、佳い休日をお過ごしください。
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本日の「技術担当者の奇言」。
「昨日、カタツムリがコンクリートから石灰を取っているのを見ましたが、
ペンキがついている壁面からで健康に影響がないのでしょうかね。」
