この処、体のだるさが消えて楽になったので、

助かっております。

 

本日も、皆様に楽しんで頂ける事を祈りつつ、

「ジアルの日記」をお贈り致します。

 

「2399年8月5日。エナブランが『おばあ様にお伺いしたい事があるの。』という。エリムは、『君も一緒に行ってくるといい。この前のミラとミコール君を見ていて、父親の複雑な心情が分かったからね。デュカットもこのところちょっと寂しいだろう。』と言う。どうも別の魂胆がありそうな気もするが、久しぶりに実家で夜まで過ごす事にした。父と母が暮らす家に着くと、猫のニニちゃんがエナブランにまとわりついて離れない。エナブランは何か繊維を持ってきていて、それを織物生地にしてくれる作家様を母に紹介してほしい、と話しているのだが、その間もニニちゃんはエナブランのスリッパの先を引っかいたり噛みついたりして、遊んでくれアピールをしている。仕方がないので、エナブランは猫じゃらしを爪先にくくりつけてニニちゃんと遊びながら母と相談を詰めている。父はその様子を見て、『カーデシアの王族として、あれでいいのだろうか。』とため息をついていた。久しぶりに父とじっくり話をする機会が取れたのは嬉しく思うが、父は、『どうせガラックの差し金だろう。あいつも娘を持つ父親の寂しさが分かったようだな。』とお見通しであった。父曰く、子供たちは賢くて大変満足しているが、もう少し「王族らしく」てもいいのいではないか、と言い、私は「あの子達らしい」からいいのよ、と意見の溝がなかなか埋まらない。エナブランと母の相談がまとまり、どの作家様にお願いするか決まったようで、ニニちゃんとエナブランは本格的に遊び始めた。ニニちゃんは、地球から子供たちが帰ってくるまでそんな事は無かったのに、エナブランに何度も頭突きをする。『こら、家の孫になにをするんだ。』と、父が言っても、素知らぬ顔であくびをして、ニニちゃんはまた頭突きをする。『おじい様、いいんんですよ。ニニちゃんは僕が好きだから頭突きをするのですから。嫌いなら猫は寄ってきません。』と大変ごもっともな事を言った。父はまだ納得していないようだが、ニニちゃんは1時間程で遊び疲れて眠ってしまった。すると今度は父が勉強の具合などをエナブランに聞き始めた。ニニちゃんも父も、エナブランに興味深々なのは変わらないようだが、それを言ったら怒るだろう。もっと戦闘の勉強をしないとだめだぞ、とアドバイスをしていた。夕食時になったので家に帰ると、エリムとテインとミラがお茶を飲みながらゆったりと家政婦のミラおばあちゃまの作ったお菓子を楽しんでいるようだったが、ミラは何か強いショックを受けている。一目でわかった。私が心配してミラを抱きしめると、『なあに、お母様。私はもう小さい子じゃないのよ。』とミラは言う。この辺の意地の張り方は、父親のエリムにそっくりである。夕食を作ってみんなで食べて、寝室に引き取ってからエリムに聞いてみると、なんとミラは生まれて初めてテイン探偵社の「機動捜査隊」に加わり、ナイフを使って戦う事態に遭遇したのだという。今まで調べていたのは、レプリケーターの類で複製が出来ないフレグランスや化粧品の偽造品を販売して利益を得ていた犯罪組織で、警察とも連絡を取り合いながらの捜査だったとの事だ。実はこの件に最初に気が付いたのはミラで、通りすがりの人のブランド香水の香りが「少し違う」と分かった時から、テインの許可を得て独自捜査を始めた、とエリムは話してくれた。ミコール君を連れて行ったのは、「他の文化圏の王族」を連れて行って油断させ、偽造品の証拠をつかむためのおとり捜査だったのだ。そして、偽造品の調香を強制的に勤めさせられていたのが、クリンゴンとロミュランの混血の12歳の少女だった為、警察の手が及んで表ざたになる前に保護するため、ミラを含む機動捜査隊に、警察が手入れをする前に急襲させたのだ。その時、ミラは抵抗してきた組織のガードマンと渡り合い、見事に戦って敵の動脈を切り、行動不能にしたのだが、初めて傷害をしたショックが思ったより大きかったようだ、とエリムは話を結んだ。『それはそうよ、まだ10歳なのに。』と私が言ったら、『まあ、私のように9歳で殺人をする羽目になるよりは恵まれた環境だがね。』とエリムは答えた。それはそうだが。これで探偵になるのをあきらめるか、それとも前に進むかはミラ次第である。その12歳の子の事を心配して聞いてみると、内密にテインが経営に口を出せる状態になっている化粧品会社の香料部の手伝いにしておくから心配しないで、という事だった。明日にはニュースになるよ、エリムは言うが、真相は誰にも話せない。」

 

皆様も、佳い休日をお過ごしください。