5月21日に入院してちょうど約3ヶ月
夕暮れの傾きと共に静かに息を引き取った命。
口元からずれた酸素マスクを戻してすぐ
目の前でふとその活動が止んだ。
その胸に手を当ててみても
温もりを残したまま二度と動くことはなかった。
悲しみと寂しさがこみ上げ
涙となって零れ落ちる。
手続きを終えて家に着くと
母が静かにつぶやいた。
まだ、実感がわかない
まだ、病院にいる気がする・・・と。
数日前、彼は母に「いままでありがとう」と
両手を握り拝むように告げたというが
母はそれを、声を荒げて怒鳴ったと言う。
父の死に後悔し
咀嚼出来ずにいる母。
その姿は痛々しく
その背はいつになく小さく見えた。
気丈にしてるが
混乱してる。
最愛の父を失った母の心労は
私にはたぶん計り知れない。
いま願うことは
母の気持ちが、穏やかな波のように
絶えることなく緩やかに
優しい日々を送れますように‥と
それくらいしか浮かばない。
兄にも姉にも、そして母にも
最後を看取ってもらえた父はおそらく
とても幸せに旅立てたと思う。
でもそれは同時に
家族にお別れの時を与えてくれた
父の最後の愛だと思う。
父さん
今まで長い間どうもありがとう。