ピナちゃん上陸の日を絶対に忘れるな
結婚後のトラブルを聞いたKさんは しばらく うなだれていたが、
やおら 私にたずねた、 「あなたの場合、12年間にあった 離婚の危機
はどないして 解決して来たのですか? 教えてください。」
私は、「少し長くなるけど・・・ある日お互いの考え方の相違から、話し合い
から口論に発展した。 素直に話を聞いてくれず、ピーナの性質として
激しい口調になり、堪忍袋の緒が切れた。 いつも引き出しに用意し
てある離婚届にサインしろと言ったがしない。 「出て行け!」 と怒鳴っ
たら部屋をとびだした。 寒い冬、時間は夜の2 時、公団住宅の10 階、
どこへ行ったのか。 しかしこちらは頭に血が上っているから、(勝手
にしろ、日本の事情を全く理解しようとしない!)
私はドアチェインを掛けた。 ・・・ 2 時間経った、4時だ。
どこも行くあては無い筈だ。 外の気温は5度くらい。
残忍にも 私は放っておくと心にきめたのだが、放っておけるわけがない。
パジャマの上にオーバーを着込んで暗い階段をゆっくりと降りた。
ここは高層階、エレベーターがあるので階段などめったに人は使わない。
4階ほど降りただろうか、冷たい階段に腰をおろしているピーナ嫁を見つけ
た。 彼女は私を見るなり飛付くようにして抱きついてきた。
これで彼女の心が分かったので、何も言わずに抱きしめてあげた。
部屋に戻っても暫くの間 私の腕の中ですすり泣いた。
彼女は、今ここに居る、・・・私一人しか身寄りのない日本で。
私は彼女をだいたま、彼女のへやに行き そっと ベッドに座らせた。
部屋の壁には キリスト の絵が 貼ってある。 左の壁を見ると
そこには 彼女が関西空港に 初めて上陸したときの記念写真が貼って
あるではないか。 見ると、手作りの変な形のバックパック、使い古した
トランク、そして普段着姿。 でも、そんな彼女が到着出口から出てく
るのがどれほど長く思えたか。 そして、とうとう 喜びのあまり、記念
写真をとり、幸せいっぱいだった。 そのことを思い出すと、わたしは
涙が溢れるのをぬぐえなかった。 私は想い返した、どれほど考え
て結婚を決心し、どれほど このピーナを好きになって、何ヶ月待って自分
の腕の中に抱き入れたのか? その後も何度か口論になったけれど
その度に この初上陸 の写真を見ては、危機を乗り越えてきた。」
ここまで話したとき、Kさんの目にも涙が光った。
そして、彼は叫ぶように 言いました。 「僕は結婚します!」
・・・・ つづく。
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