『独眼竜政宗』第18回「お東、居座る」感想 | のぼこの庵

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大河ドラマの史上最高傑作『独眼竜政宗』(1987⇒2014再放送)と近年の最高峰『平清盛』(2012)の感想です。
ついでに『江~姫たちの戦国~』(2011)、『八重の桜』(2013)、『軍師官兵衛』(2014)、『花燃ゆ』(2015)の感想も。
あとは爺放談?

以下、羽州の覇者にして政宗最大のライバルである最上義光の実の妹にして政宗が生涯に渡り慕い続けた実の母である義姫ことお東の方が、義光を完璧に言い負かした名場面です。

最上義光「文武両道の大将とは片腹痛いぞ。政宗は兵法の駆け引きも知らず鷹子を侮って戦を仕掛ける無作法者じゃ。ましてや己れ自ら太刀討ちを好むなどは一介の荒武者に過ぎぬ。まあ、いずれ名もない雑兵に首級を刈られて天下の笑い者になることは必定じゃ」
お東の方「さればこそ、兄上のご助成を願うておるのでございます」
義光「もう遅い。あ奴は伯父だろうが従兄弟だろうが見境なく敵対致し、周辺諸国の憤りを買うておる」
お東「最上との和睦さえ成り立てば国境の軍勢は南へ向けられます。さすれば諸国はおいそれとは打ち掛かれますまい」
義光「憎まれ者の味方をして巻き添えを買いとうないわ。ははは」
お東「何卒私に免じて」
義光「やれやれ、お前もとんだ倅を産んだものよのう」


ここまでは妹思いの甘いお兄ちゃんでした。

お東「…兄上にとっても伊達との和睦は望ましい所かと存じます」
義光「何?」
お東「越後の衆が庄内三郡を奪い返しに来ていると聞いております。これを討つには伊達境の軍勢がお入り用のはず」
義光「はははは、足元につけ込む気か。越後など物の数ではないわ。攻めて来たら三日で片付けてやるわ」
お東「でもござりましょうが後顧の憂いを無くしておけば尚更最上は安泰かと存じまする」
義光「小賢しい若造め。政宗がそのように申したのか」
お東「いえ、私の考えでございます」
義光「…ふん。女の出る幕ではない」
お東「私は政宗の母でございます。そして兄上の妹でございます。伜と兄が戦う姿を見るに忍びず日夜悶々と暮らしております。どうかお助けのほどを」
義光「…ならば政宗にこう申せ。最上と和睦をする前に大崎と和睦をせよとな」
お東「大崎と和睦致せば良いのでございますか」
義光「それが先決じゃ」


折角しぶしぶ妹の顔を立ててやった義光でしたのに。

お東「しかと承りました。…それから…」
義光「…ん?それから何だ」
お東「政宗が泉田重光の身柄をお返し願いたいと申しております」
義光「ならん!虫のいいことを申すな」
お東「人質を残したままの和睦は前代未聞でございます」
義光「誰も和睦など申しておらん」
お東「たった今申されました」
義光「気は確かかお義、俺は大崎との和睦を申したまでだ」


自ら出した妥協案に付け入られてしまうとは不覚。
義光は冷静さをなくしてしまいます。

お東「されど泉田重光は大崎の人質でございます。それを兄上が横取りしたのでございます」
義光「横取りした?」
お東「名のある武将にあるまじき扱いかと存じます」
義光「…俺を怒らせに来たのか」
お東「筋道を申しているのでございます」
義光「お前の口振りは一々勘に障るな!政宗が正しくて俺が悪党だと言わんばかりではないか!」


あーあ、言っちゃった。
自分でもしまったと思ったはず。
しかしさらに追い討ちをかける妹。

お東「滅相もない。それは兄上の僻(ひが)みで…」
義光「黙れ!」
お東「…」


あとはもう支離滅裂。

義光「お前は最上の出でありながら親子して俺に煮え湯を飲ませる気だな。そもそもお前を米沢に嫁がせたのは何のためだ。ええ?輝宗の首級を掻いて来いと申したのを忘れたか!」
お東「おほほほほ、遠い昔のことを今さら…」
義光「!!(秘技ちゃぶ台返しもとい義光GOZENキック)」
お東「…」
義光「和睦したければ政宗を此処に連れて来い!そして土下座せよと申せ」
お東「土下座はともかく、政宗には私からよう言うて聞かせます。伊達の身上を守るためにはまず最上と手を結ぶ事が肝要であると伝えます」
義光「…」


はい、義光さん完敗です。