最近は黙飯とか毎日餃子TVとか町中華に密着する動画を見ることにハマっている。
知る人ぞ知るような個人経営のお店を密着取材していて、プロの仕事の手際の良さを見るのが気持ち良いのだが動画を見て違和感を覚えることがある。それは店主の身を削った激務、お客様のために赤字ギリギリで経営しているor一部のメニューは赤字になってしまっているなどをあえてやっている事なのだろうけどタイトルやサムネイルに付けている事である。
基本的に出てくる店主は定年を過ぎたような老人が多い。まともに休まず毎日お客さんのことを第一に考えて丁寧に精一杯働いている。長年の経験で身に着けた技術ノウハウで他所では食べられない味を出している。「本物」の名店。総じて昔の職人気質のような自分の身を粉にして客や料理を第一に考え仕事に取り組むのが美徳。というような精神を動画に出てくる店主たちは総じて抱いているように見せてくる。
動画のコメントもそんな店主たちの姿勢に賞賛や尊敬の念を抱くようなコメントが多い。基本は「とにかく体にだけは気を付けていつまでも元気に続けて欲しい」といった旨のコメント。私はそれらのコメントにどこか違和感を覚えてしまう。冷静に考えてほぼ休まず月300時間とか一日18時間労働を何十年も続けるとか常軌を逸していないか?「こんな常軌を逸した労働の仕方は今すぐやめるべきだろ」といった彼らの過酷な労働環境に異を唱えるようなコメントは見当たらない。他人に雇われてやらされているのではなく本人が本当に好きでやっているのであればそれはブラック労働ではないのである。やはり日本人には労働=美しいといった価値観が染みついているのだろうか。
彼らには極力値上げをせずお客様第一でありたいという精神もある。値段を上げると店が潰れてしまう。値段を上げず自分は一切の贅沢はせず常に庶民の味方であり続けたい。私はそのような精神が日本にデフレマインドを益々根付かせ日本経済を貧しくしているのではないかと思ってしまう。チェーン店には出せない独自のモノを提供しているのであればもっとそれ相応の対価を要求すべきではないか。それができれば誰も苦労しないと彼らは言うだろうけど。視聴者もそんな彼らの「本物」のお客様第一精神を見せてくれることを求めているのだろうか。
働き方革命が進み労働に対する姿勢は10数年前とは明らかに変わってきたと思う。私が就職活動をしていた頃はリーマンショックの直後で企業側の買い手市場だったという事もあるかも知れない。
しかしこういう動画の反応をみると労働に対する日本人の根本は変わってないのかもと思った。
料理人を志す今の若者はこういう動画を見て自分もいつかこういう店主たちのようでありたいと憧れたりするのだろうか?それとも身を粉にして働き続ける美徳を持った人間はいずれは消えていく珍しい存在だと思って見ているだろうか・・・