思い出話しが出来る日まで。
電車に乗っていたら、
帰省の土産は、待つ人の『喜ぶ顔』が見たい
自分のために買って帰るのだ。
という広告が貼ってあった。
私も帰省するたび、もしくは旅に出るごとに、
あれやこれやお土産を買って帰る。
自分のものより多いくらいだ。
いままでは、渡す相手のために買っていたと思っていたが、
なるほど、自分のためだったんだ。と納得。
「いつも有難うね。」と、笑顔の家族や友人。
この笑顔が、喜ぶ姿が見られると思ったから
土産を選ぶ私も楽しかったんだ。
なるほど なるほど。。。
などと思いながら帰宅した夜、
ポストに友人からのハガキが届いていた。
ハガキは喪中ハガキで
亡くなったのは友人のお母さん。
ショックだった。
何回、読み直しても『母』と、書いてある。
病気だとは聞いてなかったから、突然のことだったんだろう。
驚きとともに、今、このとき、
友人はどうしているだろう と思った。
年上の友人は、私にはいつも頼りになる姉だった。
大丈夫だろうか。電話してみようか。
でも、今はそっとしておいてほしいのかもしれない。
取り乱してしまう自分は見せたくないのかもしれない。
連絡が電話やメールではなく、
ハガキだったというのがその証拠のような気がする。
そもそも、電話したら私のほうが泣いて喋れないかもしれないし
彼女に気を使わせてしまうかもしれない。
それはマズい。
昔、彼女の愛犬が天国に行ってしまったと聞いたとき、
こみ上げるものに逆らえず、メソメソ泣いてしまった。
当時、私も実家で犬を飼っていて
まるで自分の犬が天国へ行ってしまったような気になってしまったのだ。
「なんでアンタが泣くのよー 泣くのはワタシでしょー(笑)
・・・・・・自分のとこと一緒になっちゃったんでしょ。」
大当たり。
逆に慰められてしまった。
そんなことを思い出しつつ、
大丈夫、彼女には優しい旦那さんもいるし、
今は新しく迎えたワンちゃんもついてる。
大丈夫、大丈夫、大丈夫。
すでにメソメソしている自分を納得させた。
私にできることはなんだろう。。。
彼女は私が辛いことがあった時には
いつも会いにきてくれた。
今度は私がなにかしてあげたい。
さんざん悩んだあげく、手紙を送ることにした。
しかし便箋を目の前に置くと
あとからあとからおばさんとの思い出が溢れるばかりで
まったく筆が進まない。。。
私の家はあまり親戚づきあいというものがなかったためか
私が大人達と接する機会はかなり少なかった。
そのせいか私個人も、友人の『親』や学校の『先生』が苦手で、
挨拶程度の、あまり接点を持たないようにやってきた。
そのなかで彼女のお母さんの存在は
私の中では大きなものだった。
友人は結婚前は自宅通勤だったので、
たまに遊びに行ったときには、食事をご馳走になったこともあった。
他人の家で食事をいただくことになれていなかった私は
料理上手なおばさんの、一品一品に驚いた。
お醤油も買ってきたままで使わず、だしを加えた自家製醤油。
レシピを聞いて、真似したこともあった。
彼女の結婚式のとき、手作り結婚式にしたかった私たちは
招待状からテーブルセット、ウエルカムボードなどを作っていた。
そのとき、おばさんがお弁当を作ってくれた。
一人暮らしの私は、手作り弁当なんて何年ぶりだろう~ と、
気持ちがあったかくなった。。
その結婚式の最後、列席者退場のとき、
花嫁である彼女が、突然私にブーケをくれ、
「次はelfだからね!」と言ってくれたとき、
式のあいだじゅう我慢していた涙がドッとでて止まらなくなった私を
花嫁の母であるおばさんが、ギュッと抱きしめてくれた。
おばさんの田舎である、鹿児島のさつま揚げを送ってもらった時、
ちょうどクリスマスだったのでクリスマスカードにお礼を書いて送ったら、
かなり感激してくれたらしく、嬉しい 嬉しい と、
何度も言ってくれてたらしい。
それを聞いた私のほうが嬉しくなってしまった。
そして、一生忘れられないであろう言葉をくれたのもおばさんだった。
『おばさんね、あなたのこと大好きだからね、幸せになってほしいのよ。』
独身の私を心配し、言ってくれた言葉。
親からも言われたことのない、ストレートな表現。
うれしかった。
結局、手紙には
私の気持ちとお悔やみの言葉くらいしか書けなかった。
気の利いた言葉が出てこない自分に腹がたった。
返事は気にしないでほしいと書いたにもかかわらず
彼女からすぐメールがきた。
まだ信じられない、と。 そして
数日前に会ったときも、elfのことを話してたよ
と、書いてあった。
ああ もうだめだ。
また泣いてしまうじゃないか。
メールの最後には
心の余裕ができたら、二人でいっぱい思い出話しようね、と書いてあった。
うん。しようね。
きっとまた泣いちゃうんだろうけど。
でも、そうやって乗り越えていくんだよね。
泣きながら、笑いながら、いっぱい話をしようね。
待ってるからね。