創作「錯覚した加速」4 | 如月エルフのブログ

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この前の続き。

 

「あ、イセエビ、お帰り。あのね、さっき、男の人達が3人ここへやってきて、あそこの扉へ入っていったわよ」
買い物から事務所に帰宅するなり、イセエビはサルボボからこう告げられた。
「ああ、という事は、お客さんが来るわね」
「そうね。それじゃ、準備を始めよう。ね、ヤトガメちゃん」
「だ」
3人は来客の接待の用意をしていった。
そして、1人の女性がやってきた。3人はテーブルの側の椅子を勧め、それをはさむ形で座った。
「私、ヒガシカタトモコと言います。学生の頃、1人の男性と知り合いになり、付き合い始めました。だけどいつの間にかいなくなっていました。そのあとに残されたのは」
女性の客はここでいったん言葉を止める。
「それで?」
「ええと・・・」
なかなか言葉が出ない所に・・・。
「デキチャッタ」
「ちょっと、ヤトガメちゃん、だめよ、そのような発言をしちゃ」
「そうやで、もっとつつしまなあ」
「いや、そうなんです。おっしゃる通りです。息子ができて、今も一緒に暮らしています。私の父は警察官でしたけど、死んでしまいました」
3人は言葉も出なく、しばらく沈黙が続いた。サルボボが切り出した。
「それで要件というのは」
「その息子の父親つまり私が付き合っていた男の人を探して下さいませんか」
その時、扉の向こうから声がした。
「いや、構わないではないですか」
「だめだ、私は反対だ」
突然、客の女性は立ち上がり、扉の所に歩いていった。
「ああ、この声は。ジョウスケ、何してるの」
女性が扉を開けようとする間もなく、扉が開き、2人の男と巫女姿のトシカが出てきた。
2人の男は口げんかさながらに言い争っていた。
「いいだろ」「いかん」
その様子を見ていた女性はその人達に対し反応する。
「ジョウスケ、こんな所で何してるの。あ、あなた、いつぞやに会った人、え、違いましたかやっぱ」
「ようしこうなったら、決闘だ」
「仕方ないな。ならば来い」
そのあと2人の男は向かい合ったまま、動作はしているけど組み合ったりはしていなく、それでも争っているかのようであった。
「何してるんかしら」
「そやけど周りの家具とかが壊れていってるで」
数分たったあと、一方が倒れた。
「く・・・年には勝てないか」
「それじゃあ、ジョウタロウさん、行って参ります」
「いかん、親父の所に行っては」
「そういやこの様子、以前にもあったな。あの時はニジムラの親父だったか」
そう言いつつ、ジョウスケと言う名の青年は扉の向こうに入っていき、そしてすぐ出てきた。1人の老人を抱えながら。
「さあ、おかん。この人だよ」
女性はその老人の所へ行き、抱きついた。
「ああ、ようやく会えましたわ、ジョセフ」
「まあ、ボケが進行してるからあれだけど」
女性は老人から離れる事はなかった。
「一体何がどうなってるんや」
倒れている男はいつの間にか立ち上がっていた。
「私が話そう。今から十数年前、その女性のいる町にこの老人がやってきた。私の祖父だがな。そしてその女性との間に子が生まれた。それがこの青年だ。そして最近また町にこの老人がやってきた。私は息子であるその青年に引き合わせたが、母親とは会わせなかった。だけどこいつは会わせてあげればいいと言ってきた。それで決闘となったわけだ」
帽子をかぶり直しながら話している所へ青年も口をはさんできた。
「会わせてあげれはいいではないか。おかん、何かあるたびによくこの人の事を言うんだぜ」
「いや、女性は浮気相手に会ってはいけないという決まりがあるんだ」
「そんな決まりあるんかい。まあ決闘ではスタンド対決で行ったけどジョウタロウさんはかなりな強敵だったな」
「いやジョウスケも腕を上げたな。おれらは互いに争ったりはしないけどな、普段は。それより、周りはガラクタだらけだ。直しとけよ」
「はいわかってます。おれのスタンドは物を元通りにする力があるわけで」
そのあと、青年は動作を始めると、周りの家具が元通りに戻っていった。そして3人の男達と女性は事務所を去っていった。
「何が何だかわかりませんわ」
「スタンドがどうのとか。うちらには見えない何かがあるとしか思えんわ」
「それより、あの人、会いたい人に会えてよかったですわね。ずっと抱きついていて離さなかったし」
「抱っこしてるというより持ち上げてるって感じやったな。かなり老化が進んでるようやったし」
「1つわからない事がありますわ。女性は浮気相手に会ってはいけないという決まりがあるのでしょうか」
「そやな。息子には会わせたけど女性に会わせる事は避けてた感じやったわ」
「ソレガナイトマンガトシテセイリツシナイ」
「そうよね、再会をわざと避けてたという感じがしたわ。って、メタ発言じゃないのこれ」
「やれやれや」


自分も、息子には会わせたけどその母親には会わせなかった原因が思いつかなかったので、今回の創作で書いてみました。