花まつり千僧法要 東大寺ノスタルジー ─ 平成24年4月26日 ─ | タクヤNote

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元mixi『東大寺』『南都七大寺』コミュニティ管理人で、
現在は古都奈良の歴史文化の紹介、
アメーバピグや、配信アプリ『RIALITY』で知り合った人の
アバターの絵を描くなどの自作イラスト紹介をしています。

 

 

東大寺には数多くの年中行事がありますが、その中でも規模の大きさで群を抜いているのが、今回紹介する『花まつり千僧法要』です。

東大寺を訪れた方には、大仏殿の東側、二月堂や鐘楼へと続く参道の脇に、インド風のライオンの石像が置かれているのにお気づきの方も多いのではないでしょうか。

 

 

 


撮影 平成23年9月17日

 


しかし、石像があることは知っていても、それが何であるかについては、ほとんどの人は知らないのではないでしょうか。実はこの石像はこの花まつり千僧法要を記念して造られたものなのです。

この像はブッダによる初転法輪(初めての説法)の地で知られるサルナートの獅子柱頭・アショカピラーを模ったもので、仏教の原点の象徴として建立されました。
花まつり千僧法要は昭和63(1988)年に、全日本仏教青年会が主催となり、仏教関係9宗派13団体が一同に集まり、国家仏教の中心であった東大寺大仏殿にて
同じ仏教従事者が宗派の枠を超えて、国家繁栄を祈り、多くの物故者の冥福を祈り、日本の仏教の隆盛を願うというもの。
以後、回を重ねること昨年で26回となりました、毎年4月26日(当日は日曜日の場合は翌月)に営まれる行事ですが、この日記では平成24(2012)年・第25回の花まつり千僧法要の模様を紹介します。


この日も今にも雨が降り出しそうなあいにくの曇り。正午を過ぎた頃に東大寺に着いた小生は、南大門と大仏殿を結ぶ大仏殿参道に足を運びました。法要を営まれる僧侶の方々の控室となっている東大寺総合文化センターでは、受付の看板が。

 

 

 

 

 

 

 

 


また、参道近辺には、すでに多くの僧侶の方の姿も見ることが出来ました。

 

 

 

 

 


千僧法要目当てでいた小生は、この総合文化センター前で、僧侶による行列が現れるのを待っていました。大仏殿での法要は午後1時から、僧侶による行列はその15分前からと聞いていましたが、天候のせいか予定より遅れて、午後1時20分になって、ようやく行列が登場しました。
行列は総合文化センター裏から参道に入りました。先頭は導師と吉野の金峯山の山伏で、勇壮なほら貝の音が僧侶の列を先導します。

 

 

 

 

 


そして、袈裟をまとった僧侶によるお練り行列が、大仏殿へ向かうおよそ300メートルの参道を途切れること無く続くのです。

 

 

 

 

 


千僧法要ということですが、聞くとこの時の僧侶の人数は約500名程とのこと。「『千僧』とは大袈裟な」なんて思われそうですが、平成20(2008)の日本仏教青年会30周年を記念して行われた11月17日の千僧法要では実際に1200人、昭和63(1988)年に行われた第一回の千僧法要では、1700名の僧侶が参加したそうで、過去にはこの年以上に大規模に開催されたこともあり、千僧法要が名だけでは無いこともあったのです。
緑色の天台宗、黒色の浄土宗、紫色の真言宗、白色の日蓮宗など、袈裟が宗派ごとに違うので色鮮やか。宗派を超えた法要であることを、このカラフルな色が表しているというわけです。

僧侶の行列のお練りは、大仏殿表参道から大仏殿院正面の中門へ。ここで普段は閉ざされている中門が開門され、行列は注文をくぐって大仏殿院に入ります。

 

 

 

 

 

 

 

 


そして大仏殿前参道を通って、大仏殿の中に入って行くのです。
500人にも及ぶ僧侶のお練りは、大仏正面に設けられた階段から、大仏が鎮座する須弥壇の上に登って行きます。

 

 

 

 

 


そして、大仏の周囲をぐるりと取り囲むのです。正面だけでは無く、大仏の背面まで色とりどりの袈裟をまとった僧侶が囲むのです。

 

 

 

 

 


そして、法要が始まります。法要は次のような順で進みました。

 

 

・開式の辞

 

 

・惣礼「会奉行発声」
・声明「天台仏教青年連盟 散華」
・慶讃文奉読「全日仏青理事長」
・各加盟団体法要
・声明・念仏「融通念仏宗青年会」
・木剣「全国日蓮宗青年会」
・般若心経
・大般若転読
・妙法蓮華経観世音菩薩普門品偈
・太鼓「全国曹洞宗青年会」
・惣礼「会奉行発声」
・閉会の辞
 

 

 

これだけ多くの宗派に別れた僧侶が集まりますと、読経も全員一斉というわけにもいかないようで、各宗派ごとに祭壇前で声明を上げるという形になります。
普段は一堂に会するようなことの無い異宗派の僧侶による法要は、特に仏教従事者には珍しく見られ、特に他宗派と一線を画す日蓮宗がこのような法要に参加するというのは非常に珍しいことなのだそうです。

この法要の目的は仏教の隆盛を目的として宗派を超えて、東大寺に集まるということでしたが、平成23年からは千僧法要には特別な目的が加わりました。

 

 

 


東日本大震災への物故者の冥福や震災復興祈念もまた、この法要の大きな目的となったのです。
法要の途中では記念の散華が撒かれるなど、荘厳ながらも和やかな雰囲気で終わりました。

 

 

 

 

 

 


しかし、これでこの日の千僧法要のすべてが終わりではありません。法要は大仏殿から、記念碑であるアショカピラーのライオンの石像の前に移動してまた行われるのです。まず、大仏殿を後にした僧侶の皆さんは、まず大仏殿院正面の中門前で記念写真を撮られます。

 

 

 

 

 


そして、そこからまた列を作って、アショカピラーの石像まで移動されるのです。

 

 

 

 

 


千僧法要の記念碑であるアショカピラーの石像が立てられていたのは、大仏殿院東側の若草山に続く山道の入口あたり。ここに何百人もの僧侶の方々が移られるのですが、決して広い場所では無いので、ほとんどの僧侶の方々はアショカピラーから離れた場所で法要に立ち会うことになってしまいます。
せっかく、これだけの規模での法要を行うのだから、アショカピラーは少し上に登った鐘楼のあたりとか、三月堂前広場のあたりとか、あるいは大講堂跡などもっと広い場所に立てた方がよかったのではと思ってしまいました。

 

 

 

 

 


ここで最後の読経や、白い象の上に置かれた誕生仏に甘茶掛けなどを行ったのでした。

 

 

 

 

 


「同じ釈尊の教えを根本とする仏教が一つになる」若い僧侶たちの熱意によって実現した、この全国規模の大きな法要。世界では宗教が理由で戦争をしている国も多いことを考えると、本当に日本という国はすばらしい。そんな想いが心の中に生まれる、そんな大法要でした。

今年も明日、4月26日の午後1時(千僧行列は12時45分)より開催されます。

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