第五話 VSEPR理論-どうして水分子は曲がった形?-
どうも。最近友人に「炭素」と呼ばれ過ぎて、本名を思い出すのに時間がかかるサイエンス中野(炭素)です。前回の化学小噺(読んでいない方はここをクリック)で炭素以外の話をする宣言をしてしまったので、今回は無機化学の話をしていこうと思います。
最近、自分がハマっている理論について書こうと思っているのですが、ちょっと難しいのでわかりにくいかもしれません。ご了承ください。
突然ですが、皆さんはこんな疑問を持ったことはありませんか。「どうして水分子は曲がった形なのか」と。よくよく考えると不思議ではないでしょうか。対して、水分子と同じく3つの原子で出来た二酸化炭素分子の形は真っ直ぐです。一体、この2つの分子にはどのような違いがあるのでしょうか。
分子というものは原子がくっついたもので、原子は原子核と電子からできています。原子がくっつく(結合する)のは原子同士の電子のやり取りです。実はこの電子というものは対(ペア)をつくります。細かい話は複雑になるので割愛しますが、電子は対(ペア)を作ります。
上の図を見てください。これが水分子の電子を考えたイラストです。水素原子は電子が1個、酸素原子は内側に2個、外側に6個あります。水素の電子の軌道と酸素の内側の軌道をK殻、酸素の外側をL殻といいます。そしてK殻には電子が2つ、L殻には電子が8つ入ると安定します(詳しく知りたい方は電子軌道について調べてみて下さい)。なので、図のようになります。
ここで、電子がペアをつくります。そこで、結合に関係していない(やり取りをしていない)電子のペアができます。これを孤立電子対(非共有電子対)といいます。この孤立電子対はお互いを強く反発します。共有電子対も反発力を持つのですが、孤立電子対ほどではありません。
具体的に言うと、 孤立電子対同士>孤立電子対と共有電子対>共有電子対同士 の順で反発力の大小が決まっています。なので、孤立電子対があると共有電子対は孤立電子対に押し返されます。そうして安定した形が、分子の形となるのです。
水分子は孤立電子対2つと共有電子対2つが最も距離をとる配置になります。ただ、孤立電子対の反発が強いので、正四面体状ではなく孤立電子対同士、共有電子対同士の距離が広くなります。水素原子は共有電子対の方にあるので、水分子はこのように曲がった形になります(図)。二酸化炭素は二重結合の共有電子対が2つ反発して直線状になります。
赤…酸素原子 白…水素原子 黄…孤立電子対
このように電子対同士の反発を考えて分子の形を推測するという考え方を原子価殻電子対反発理論(VSEPR理論)といいます。この考え方を使えばアンモニア分子の形メタン分子の形など、多くの分子の形を予測することができます。
今回は難しい内容だったかもしれません。出来るだけ分かりやすく書いたつもりなのですが、複雑な内容だったので質問等あるかもしれません。その場合はコメントに書き込んでくだされば幸いです。他にもメッセージ等ありましたら是非コメント欄によろしくお願いします。


