第二話 爆轟法ナノダイヤモンド

 

どうも、お久しぶりです。サイエンス中野(炭素)です。前回の記事からおよそ3か月経ちました。不定期と言いつつ、1か月に1回くらいは更新しようと思っていたのですが、気がついたら3か月経ってました。不思議ですね。

 

いや、本当はノーベル賞のタイミングでリチウムイオン電池の話をしようと思ってたけどいろいろあって書く余裕がなくてそのまま流れて……

 

さて、今夜はクリスマスイブとやらだそうです。ちなみに、二年前のクリスマスはこんな記事を書いたみたいです。

 

https://ameblo.jp/elementcreators/entry-12338975134.html

 

ただ、今日は甘い話に気分が乗らないので、今回は腹いせに爆薬の話をしようと思います。

 

爆発物といえば我らがめぐみんを思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんね。今回は彼の記事から物質を引用したいと思います。

 

https://ameblo.jp/elementcreators/entry-12315475084.html

 

そう、TNT(2,4,6-トリニトロトルエン)です。この物質は皆さんご存知かと思われますが、このTNTからダイヤモンドを作れるのはご存知ですか。

 

正確にはナノダイヤモンド(ダイヤモンドナノ粒子)といって、目には見えない小ささのダイヤモンドですが、TNTを爆発させることによって得ることができます。

 

そもそも爆発にも種類があって、その中でも化学反応によって引き起こされ、火炎面が超音速で移動するものを「爆轟」と言います。そして、この火炎面で不連続的な圧力増加が引き起こされ、高温高圧帯が発生し、超音速で移動します。これを、衝撃波と言います。

 

そして、1961年にグラファイトに衝撃波をあてると、ダイヤモンドに相転移することが発見されます。

 

その後、1963年に当時ソ連のDanilenkoらはTNTとヘキソーゲンの混合物をグラファイト共存下に不活性溶体中で爆轟させ、ススからダイヤモンドを取り出す実験をしていました。しかし、どうやら最初に用意したグラファイトより得られるダイヤモンドの方が多いのです。黒鉛を減らしても、過剰のダイヤモンドが得られました。徐々に黒鉛を減らしていき、ついには黒鉛を入れなくてもダイヤモンドを得られることを発見しました。

 

TNTとヘキソーゲンは分子内に酸素が少なく、不完全燃焼により分子中の炭素原子が衝撃波の影響を受け、ダイヤモンドが生成されたと考えられています。このメカニズムは前述したグラファイトの相転移とは異なり、原子が組みあがってダイヤモンド構造が作られているようです。

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第一話 帰ってきた黒いアイツ

 

 どうも、ご無沙汰しております。かのサイエンス中野(炭素)です。今回は、アメブロを復活させ不定期でブログを更新していくことにしました。書きたいときに書くので更新頻度は低めですが、今度もよろしくお願いします。

 

 さて、前置きが長くなりましたが、皆さんは化学小噺の第一回のテーマを覚えているでしょうか。多分エレクリメンバーでさえ誰も覚えていなさそうなので以下にリンクを貼っておきます。

 

 https://ameblo.jp/elementcreators/entry-12311181240.html

 

 このように、2年前の私はカーボンナノチューブで作られた世界で最も黒い物質「ベンタブラック」をご紹介したわけですが、近年の科学技術の進展はめまぐるしいもので、すでにこの「ベンタブラック」を超えるアホほど黒い物質が発見されたみたいです。

 

 このまっくろくろすけは、アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)がアルミニウムの酸化膜を取り除いて導電性の向上を目的にした研究の最中、偶然に発見されたものだそうです。

 

 具体的にはアルミニウム上にカーボンナノチューブを生やして酸化膜を取ろうとしたところ、酸化膜の除去に成功しただけでなく、カーボンナノチューブが黒く変化していたので可視光吸収率を調べた結果、「ベンタブラック」を超える黒さを持っていたとのことです。

 

 ちなみに、「ベンタブラック」の可視光吸収率は99.965%なのに対し、このまっくろくろすけは驚きの99.995%。目に見える光を当ててもその0.005%しか反射しないので、実際に見ると空間に穴が開いたように見えます。

 

 Image: Diemut Strebe

 

 上の写真は6.78カラット(200万ドル相当)のダイヤモンドにこの黒い物質をコーティングする前(左)と後(右)の比較ができる写真です。

 

 おい、なにしてくれてんだ。200万ドルやぞ。今現在(2019-09-25 10:30)で1ドル=107.15円だから200万ドル=2億1430万円だぞ。うまい棒2143万本買えるんだぞ。食いきれねぇよ

 

 さて、この黒い物質はこのようなアートだけではなく航空宇宙分野からも期待がされています。先程リンクを貼った、化学小噺の初回で述べたベンタブラックの利用法と同じように、望遠鏡で無駄な光を吸収して精度を上げるという利用法です。確かに、可視光のほとんどを吸収してしまうこの物質にはピッタリですよね。

 

 ただ、まだ細かい生成メカニズムは不明なので、今後の研究も期待できそうです。

 

 

 参考サイト一覧

 https://techable.jp/archives/108104

 http://news.mit.edu/2019/blackest-black-material-cnt-0913