第一話 帰ってきた黒いアイツ

 

 どうも、ご無沙汰しております。かのサイエンス中野(炭素)です。今回は、アメブロを復活させ不定期でブログを更新していくことにしました。書きたいときに書くので更新頻度は低めですが、今度もよろしくお願いします。

 

 さて、前置きが長くなりましたが、皆さんは化学小噺の第一回のテーマを覚えているでしょうか。多分エレクリメンバーでさえ誰も覚えていなさそうなので以下にリンクを貼っておきます。

 

 https://ameblo.jp/elementcreators/entry-12311181240.html

 

 このように、2年前の私はカーボンナノチューブで作られた世界で最も黒い物質「ベンタブラック」をご紹介したわけですが、近年の科学技術の進展はめまぐるしいもので、すでにこの「ベンタブラック」を超えるアホほど黒い物質が発見されたみたいです。

 

 このまっくろくろすけは、アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)がアルミニウムの酸化膜を取り除いて導電性の向上を目的にした研究の最中、偶然に発見されたものだそうです。

 

 具体的にはアルミニウム上にカーボンナノチューブを生やして酸化膜を取ろうとしたところ、酸化膜の除去に成功しただけでなく、カーボンナノチューブが黒く変化していたので可視光吸収率を調べた結果、「ベンタブラック」を超える黒さを持っていたとのことです。

 

 ちなみに、「ベンタブラック」の可視光吸収率は99.965%なのに対し、このまっくろくろすけは驚きの99.995%。目に見える光を当ててもその0.005%しか反射しないので、実際に見ると空間に穴が開いたように見えます。

 

 Image: Diemut Strebe

 

 上の写真は6.78カラット(200万ドル相当)のダイヤモンドにこの黒い物質をコーティングする前(左)と後(右)の比較ができる写真です。

 

 おい、なにしてくれてんだ。200万ドルやぞ。今現在(2019-09-25 10:30)で1ドル=107.15円だから200万ドル=2億1430万円だぞ。うまい棒2143万本買えるんだぞ。食いきれねぇよ

 

 さて、この黒い物質はこのようなアートだけではなく航空宇宙分野からも期待がされています。先程リンクを貼った、化学小噺の初回で述べたベンタブラックの利用法と同じように、望遠鏡で無駄な光を吸収して精度を上げるという利用法です。確かに、可視光のほとんどを吸収してしまうこの物質にはピッタリですよね。

 

 ただ、まだ細かい生成メカニズムは不明なので、今後の研究も期待できそうです。

 

 

 参考サイト一覧

 https://techable.jp/archives/108104

 http://news.mit.edu/2019/blackest-black-material-cnt-0913