こんにちは、大島へぶんです。
ネットフリックスで映画『由宇子の天秤』(2019)を観ました。
3年前に起きた女子高生いじめ自殺事件の真相を追う由宇子は、ドキュメンタリーディレクターとして、世に問うべき問題に光を当てることに信念を持ち、製作サイドと衝突することもいとわずに活動をしている。
その一方で、父が経営する学習塾を手伝い、父親の政志と二人三脚で幸せに生きてきた。しかし、政志の思いもかけない行動により、由宇子は信念を揺るがす究極の選択を迫られる…というお話。
この作品、基本的に音楽が使われていません。
春本雄二郎監督によると音楽は観客をある特定の感情へと導くものなので使わなかったそうです。
確かに映画の音楽って感動を盛り上げたり、不安を煽ったりする効果があるものですよね。
この作品はそういったある方向に感情にバイアスをかける事を一切しない、作り手の意志が感じられます。
殆どの場面が由宇子を中心に描かれ、観客も彼女の視点で物語を追っていきます。
だから由宇子と同時に色んな事を知ったりするのですが、それも真実なのかわからない。
ドキュメンタリー番組を制作するの由宇子を描くドキュメンタリーという二重構造になっているのですね。
由宇子は自分自身が事件に巻き込まれる事によって「正しさとは何なのか?」という心の葛藤に苦しむのです。
人間というのは結構矛盾した言動をしたり、善悪とかも絶対的に決められない時もあります。
誰もが多面的な性格をもっているし、一方向からしか物事を見られないのは危険なのではないか…
そんな事を考えさせられる作品でした。
全編出ずっぱりの主演の瀧内公美さん、初めて知りましたがばりばり働く女性の感じがリアルで良かったです。
ドラマ『不適切にもほどがある!』でブレイクした河合優実さん、まだあどけなさを感じる頃ですがやっぱり光ってます。