私のメインのアンプは6080 SEPP OTLアンプですが、片チャンネルが6080 を4本も使用しているので、2台作動させると400Wから500W位の消費電力で、部屋の温度が2℃から4℃位上がるくらいの発熱があります。冬の間はこの発熱が丁度良い塩梅なのですが、夏はクーラーかけて冷房している部屋の中でこのアンプで音楽を聴く気がしませんでした。

 

             NEC製の6080   

           

そこで、夏用省電力アンプの候補を色々検討していたのですが、今まで検討してきた候補を挙げて見ます。歪率特性はSimetrixでシミュレーションした回路の特性です。

 

 1.6BQ5超3極管接続を改良した低歪シングルアンプ

   出力は3W 歪率:0.09%

 2.KT88超3極管接続を改良した低歪シングルアンプ

   出力は8W 歪率:0.09% 

 3.7236 SEPPアンプ+マッチングトランスアンプ

   出力は10W 歪率:0.004%

 

メインアンプに採用した6080はレギュレータ用に開発された3極管ですので、内部抵抗が280Ωと小さいので、まさにSEPP OTL向きの真空管ですが、直線性はあまり良くない事と、μが2と小さくドライブが難しいという欠点がありました。            

 

7236という真空管は知らない方も多いと思われますが、米国のTUNG-SOLが開発したパワーアンプ用の3極管で、内部抵抗が380Ω、μが4.8、15Wのプレート損失を持つユニットが2つ内臓された真空管で、非常にいい形のGT管です。μが大きいレギュレータ管に5998Aが有りますが、内部抵抗が350Ωでμが5.4と大きく使い易いのですが、袴の部分がベーク製でデザイン面で今一つ好きになれませんでした。

 

            TUNG-SOL製の7236

 

TUNG-SOL製の7236はクラシックコンポーネントという真空管ショップで見つけて、その形に惚れて、いつかこの球でアンプを作ろうと思って購入していた真空管でした。

 

今の所、7236のSEPPアンプとマッチングトランスを組み合わせたアンプが最有力候補になっています。上記3種類のアンプは何れも設計は済んでいるので、後はどれを作るか決めるだけです。

 

7236のSEPPアンプはDCアンプ構成で周波数特性はDC~600kHzまでフラット、NFBの量は約57dB、最適負荷抵抗は190Ω、10W出力時に0.004%と超低歪なアンプで、真空管アンプとは思えないようなアンプです。

 

              7236 SEPPアンプの周波数特性

(上が無帰還時ゲイン:79dBでDC~60kHzまでフラット)

(下がNFB時のゲイン:22dBでDC~600kHzまでフラット)

 

   7236 SEPPアンプの歪率特性(11.5W出力時)

 

7236 SEPPアンプはSimetrixを使って設計・検討が済んでいるので、後は組み合わせるマッチングトランスの設計を行う予定です。このトランスはCS-40のカットコアを2個用いたオートトランス方式にする予定です。

 

参考にしたトランスはだいぶ前に、雨森さんがインターネットで発表され、その後ソフトンから発売された50Wクラスのマッチングトランスです。今回はこのトランスを参考に、2次巻線の分割数を多くしてより広帯域な設計にする予定です。