LUX MQ-36のシミュレーション解析を行い、大型のブロック電解コンデンサを現在得られる最大容量の200V 3300μFに増加して、疑似2電源回路と電源回路の定電圧化で、どこまで特性改善できるのか検討してみました。

 

 

いろいろシミュレーションすると、低周波特性の改善でネックとなるのは低周波の時定数を持つ回路の多さによる低周波特性の悪化です。これは50年ほど前の回路設計技術では止むを得ない所ですが、まず設計変更を行うべきは以下の部分です。

 

 1.初段6267のスクリーングリッド回路

  ツェナーダイオードによる定電圧化で時定数削除

 2.ドライバー段の6CL6のスクリーングリッド回路

   ツェナーダイオードによる定電圧化で時定数削除

 3.2段目の6CL6のグリッド部のオートバイアス回路

   抵抗による分圧回路でのバイアス設定で時定数削除

 

低周波特性を改善してゆくといつもネックになるのは、リークムラード回路の2段目の6CL6のオートバイアス回路でした。3項目の2段目の6CL6のバイアス回路を抵抗による分圧回路にする事で時定数が削除出来ることが分かったのは、Simetrixのシミュレーションからでした。

 

オリジナルのLUX MQ-36では1MΩの抵抗と4.7μFのフィルムコンデンサでオートバイアス回路を形成しています。ところが、6CL6の規格表を見るとグリッド抵抗は、固定バイアス時は100kΩ以下で、カソードバイアス時は500kΩ以下と規定されています。つまり、LUXの設計はこの規格を無視して倍の1MΩにしていたのです。

 

 

設計変更後の回路を上記に示します。

初段の電源回路はツェナーダイオードで定電圧化します。2段目の6CL6のグリッド回路は電源電圧を抵抗で分圧してバイアスを与えますが、可変抵抗でバイアス電圧を調整します。