読みたい本は多々あれどなかなかはかどらない。これも2022年版このミステリーがすごい!の海外編第2位の作。ホロヴィッツの「ヨルガオ殺人事件」に阻まれてたんだなぁ。他のミステリーランキングで1位のとこもあったらしい。一応三部作らしく以降も続編が出ててそれらも各年のベスト10には入って居る。ちょっと前に前日譚なる薄い一冊が刊行されてて、ほぼそれで完結らしい。ので、そろそろ読もうかと思ってた。既に「ヨルガオ殺人事件」と同じ頃に購入してたのに何故か積読本に入ってた・・・。

 作者はイギリスのホリー・ジャクソン。本国ではカーネギー賞と云う児童文学賞のノミネート作らしい。児童文学にミステリー?と思うが読むと納得だ。

 女子高生のピッパ(ピップ)・フィッツ=アモービが卒業間際の自由研究EPQに取り上げたのが5年前に自分の町で起きた17歳の少女の失踪事件で交際相手の少年が彼女を殺害した上、その少年が自殺した事件だった。その少年と親しかったピップは、彼が犯人だとは信じられず、無実を証明するために、自由研究として警察や新聞記者、関係者たちにインタビューをはじめる。ところが、身近な人物が次々と容疑者として浮かんできてしまい……。

 主人公にしてホームズ役のピップが屈託無く真っすぐで明るいキャラなのが良い。家庭環境も父を事故で無くし母がナイジェリア人の子持ちと再婚した為、肌の違う弟と4人暮らしだが、その辺で偏見が無い。事件の犯人とされた少年サリル・シンはインド系の為もあって、事件後家族は村八分状態。その一家の弟ラヴィ・シンにインタビューに行くところから小説はスタート。所々に地図やインタビュー記事、チャット風記載やノートの画像複写などなど自由研究としての構成が目新しい。リスベットやマロリーの様な天才ハッカーでは無いので、アプローチは女子高生のメール攻勢などで証言を得るもの。途中からラヴィ・シンが兄の汚名返上にワトスン役を買って出て・・・。被害者と思われてる少女とその周りの闇が現れて来て、中盤にはサリル・シンの無実をほぼ立証するが・・・(途中不法侵入やいろいろ危ない捜査もするが・・・)

 そして身近な思わぬ(推理小説的に此奴かなぁ~で見当付くが)犯人が判明しピップが対峙する。(このシーンもピップの矜持もカッコいい!)が、スッキリしない問題が残ってて、更なる犯人に!って展開だ。面白かった~。読み易いし。ランキング上位も頷ける。差別やイジメや若年ドラッグなどダークな物語なのにピップとラヴィコンビが明るく真っすぐで好感が持てる小説だ。続きも購入済み。「優等生は探偵に向かない」最初少し読んだが、オープニングから「自由研究には向かない殺人」のネタバレをしてるので、これは確り順番通り読まなきゃマズい!第三部「卒業生には向かない真実」前日譚が「優等生は探偵に向かない」と続く。しばらくピップシリーズで楽しめそうだが、読書スピードが失速しない事を願ってる(*^▽^*)。