積読本の漫画のシリーズ。藤田和日郎の漫画、ちょっと前に「双亡亭壊すべし」が完結し全巻読んでたのだが、この漫画、何故か積読化されてた。2巻以降は書店からのビニールパックのまま積んでた(´・ω・`)。

「黒博物館」の先の作品「黒博物館スプリンガルド」「黒博物館ゴースト アンド レディ」は読んでたのだが、この3作目は手付かずだった。昨晩たまたま布団にもぐった後、読んでた小説の活字疲れ?で、ひょいと「黒博物館 三日月よ、怪物と踊れ」の1巻を手に取ったら・・・いきなりメアリー・シェリー(「フランケンシュタイン」の作者)の登場でビックリ!思わぬところにアテナクラブの伏兵か!と読み始めてしまった。完結の6巻を閉じた時にはブラインドから朝日が差し込んでた!藤田和日郎は「双亡亭壊すべし」が初見で、有名な「うしおととら」「からくりサーカス」も未見だ。何時だったか浦沢直樹の漫勉で紹介されてて面白い作風で読み始めたのだ。

 さて、本作、スコットランドヤードの極秘博物館所蔵の事件絡みの所蔵品絡みのストーリーが基本、今作ではヴィクトリア女王の舞踏会に残された赤い靴の出自をメアリー・シェリーが観覧に来て学芸員に顛末を語る展開に成ってる。

 1841年にドーヴァーに上陸したコサックの7人の女暗殺団を近衛歩兵連隊が迎え撃つがほぼ全滅してしまう。辛うじて隊長アレックス・ダンヴァーズが一人を捨て身で何とか倒すが、他は取り逃がしてしまう。倒した女暗殺者は崖から落ちて頭がぐしゃぐしゃらしく近場の村医者?コンラッド・ディッペル博士に検死を頼むと死体を検分したいと持ち帰る。その後、ディッペル博士は最近亡くなった近くの村娘の頭と暗殺者の体をくっ付けて怪物を蘇らせたのだそうだ、頭は学も無い村娘のままで、体は暗殺者、顔は傷だらけで包帯が体中捲かれて紐を締めない赤いブーツ姿の巨大女だった。何故か剣技は優れたまま、近衛歩兵では太刀打ちできないのだそうで、ダンヴァーズは残りのコサックの暗殺者からヴィクトリア女王を守るために狙いと思われる舞踏会に出席させることでヴィクトリア女王の防御を思いつく。が、頭は村娘なので舞踏会に潜り込ませる器量が無い。近場のレディ達に教育を頼もうにも、姿を見て全員失神するか逃げ帰る有様。怪物を恐れずに教育できる女性として、かつて怪物が登場する小説を執筆したメアリーに白羽の矢を立てる。メアリーは旦那が死去し、女手一つで必死に息子パーシー・フローレンス・シェリーを育て、大学まで進学させたが貧乏まっしぐらだった。高額な報奨金にダンヴァーズの申し出を受けてしまう。かたや怪物は自分を救ってくれたように勘違いしてメアリーに懐いてしまう。更にエルシィ(LC、Little Childの略)と名付けしてもらってから、メアリーの危機に毎回助けに出る関係に・・・。

 当時の男性至上主義やメアリーの苦悩や女性達の立場など良く描けている。参考文献も巻末に多数列挙されててフランケンシュタインの解釈などなかなか奥の深い作りとなっている。もはや完全にエルシィ贔屓で読んでしまう。途中で出て来るエイダ・ラヴレス(実在らしい)など魅力的なキャラが沢山。ラスト前に館からエルシィが出陣するシーンなんてうるうるもんだった。勿論アクションもどんどんエスカレートして行って、これハリウッドで映画化しねえかなぁ(*^▽^*)。いやぁ~面白かった。