「ミレニアム7」読了。「薔薇の名前」に対し、滅茶苦茶読み易く、上下巻4日程で読み終わった。一章が数ページの展開なのも読み易い。

 ミレニアムはドラマ化もされた近年では出来の良いミステリーで、第一部は本格推理なミステリー。第二部はサスペンスミステリー。第三部は法廷ミステリーと粋な展開で、何より主要登場人物の天才ハッカードラゴンタトゥーのリスベット・サランデルのキャラクターが群を抜いて居た。初期3部作はスウェーデンの映画化でノオミ・ラパスが演じてて、その後「シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム」や「エイリアン: コヴェナント」などでハリウッド進出してる。ハリウッド版ではルーニー・マーラが演じてたがちょっと影が薄い?第一部のみの映画化で続く映画化は第4部でクレア・フォイが演じてた。

 第二部以降はこのリスベット・サランデルの出自に絡むストーリーで一応第三部で完結してる。ちゅうか作者のスティーグ・ラーソンが死去したので仕方ないが・・・

 ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女

 ミレニアム2 火と戯れる女

 ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士

 しかしこれ程のヒット作を出版社が黙ってる訳が無い、ダヴィド・ラーゲルクランツってスウェーデンの有名な作家に続きを書かせて

 ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女
 ミレニアム5 復讐の炎を吐く女
 ミレニアム6 死すべき女(以上は全てハヤカワ文庫になってる。)
の追加三部作が出された。初期3部作に触られてたリスベットの双子の姉や人工知能などの絡む物語だった。因みにハリウッド版第2作はこれがベース。
 で、落ち着いたかと思ったら、先日書店に並んだミレニアム7: 鉤爪に捕らわれた上下巻!何と新たな作家カーリン・スミルノフだって!
 ミレニアムは基本、社会派雑誌の「ミレニアム」がストーリーの主幹を負ってるのだが(タイトルにもなってるし)本作では既に時流の流れで廃刊となっている。ミレニアムのメイン記者であるミカエル・ブルムクヴィスト(本来の主人公?)が探偵ぶりを発揮するのがミレニアムシリーズ。本作ではミレニアム廃刊で気落ちしたまま娘の結婚式でスウェーデン北部のガスカスって街に赴く。娘ペニラは第一部で登場してて謎解きのヒントをくれる場面がある。映画版ではカットされてたが。まだ学生だったはず。本作では男児ルーカスの母で今回再婚らしい?相手はガスカスの町長ヘンリィ・サロで、風力発電の土地買収で揉めてるらしい。更にあの第二部以降のリスベットの義理の兄無痛症の殺人巨人ロナルド・ニーダーマンの娘スヴェラ・ヒラクの保護者としてリスベットがガスカスの街に呼ばれていた・・・。リスベットの登場は100頁辺りからなのでそこから俄然面白くなる、更に風力発電絡みでブランコグループなる怪しげな連中が利権を撮りに来て、ヘンリィ&ペニラの結婚式を襲撃ルーカスが誘拐されてしまう!意外にミカエルとペニラの仲は良く無いがルーカスは可愛い孫の様だ。新キャラスヴェラ&リスベットの関係も楽しい、何気にスヴェラがリスベット二世的で、それを扱うリスベットの戸惑いも楽しい!
 ある面ではとても楽しい展開なのだが、本来の主軸ミレニアムが無いのが気にかかる。ま、マスコミ指南に現地ローカル紙の編集部とミカエルの絡みは有るし自然環境問題を扱ってはいるのだが・・・。
 この作者による新三部作が計画されてるそうで「ミレニアム8」が出るんだろうなぁ~。面白いから付き合うけど本来の「ミレニアム」はやはり最初の三部作で締めって事で良いと思う。