まだ続いて居るアテナクラブシリーズ絡み。「ラパチーニの娘」。第一巻から登場のメアリ・ジキルの二番目の仲間ベアトリーチェ・ラパチーニの出典作だ。解説で創元推理文庫「怪奇小説傑作集3」で読めると記されて居たが、どうも絶版な様だ。で、Amazonマーケットプライスで中古を見付けて発注。程度が心配だったが綺麗に包装されて届いて安心した。程度は中古にしては大分良い。

 ので、作品は60頁弱の短編だ。作者はナサニエル・ホーソーン。有名な作品では「緋文字」ってのがある。てっきりヨーロッパの作家だと思ってたらアメリカの作家だった。目的は本作だけだったので他にウィルキー・コリンズやラヴクラフトの作品も収録されてるが未読だ(*^▽^*)。以下完全にネタバレてます。ちなみに本作も青空文庫で読めたらしい(´・ω・`)。

 ジョヴァンニ・ガスコンチという青年がイタリアのパドヴァと云う都市の大学に進学して来て古い館の上階の部屋に下宿した。そこの窓からは隣家のジャコモ・ラパチーニと云う医者の家の薬草の庭が見降ろせた。そこでジャコモ・ラパチーニが庭を手入れして居るのと美貌の娘ベアトリーチェ・ラパチーニを見初める。その後、大学の教授で著名な医者のピエトロ・バグリオーニにラパチーニ医師の話題を振ると教授は「ラパチーニ」をこき下ろすのであった。その後、ジョヴァンニはベアトリーチェが植物の手入れをしているのをこっそり眺め降ろすのを楽しみにして居た。ジャコモが決して近寄りたがらない花の手入れをベアトリーチェにさせている事や彼女の周りを飛んだ蝶が死に落ちるのを観てもジョヴァンニはベアトリーチェに焦がれて行く一方で、家主のリザベッタ老婦人の手引きで隣家の庭に入れる様になった。そこでジョヴァンニはベアトリーチェとの遭遇に成功。その日以降ジョヴァンニはベアトリーチェと庭を散歩する様になるが、例の花に近寄ろうとするとベアトリーチェに腕を掴まれ阻まれる。ベアトリーチェは父ジャコモの手によって毒耐性の上自身も毒を発する様に育てられていたのだ。その後、掴まれた腕に炎症が発生しても気にしないジョヴァンニだったが、忠告に来たバグリオーニ教授の話に耳をかさなかったが、自身の息で蜘蛛が死ぬのを見た瞬間、自身も毒体質にさせられたと気付く。ジョヴァンニはバグリオーニが解毒作用の薬だと持って来た薬壜を手にベアトリーチェに会いに行く。ベアトリーチェに自分も毒人間にしたのかとベアトリーチェに詰め寄り、薬を飲んで二人で普通の人間になろうと迫るが、薬を飲もうとするベアトリーチェをジャコモが止めようとする。

 「メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち」でのベアトリーチェが語る過去では薬を飲んで死んだのはジョヴァンニだったという事になっていたが、本作ではジョヴァンニの罵りに絶望したベアトリーチェは死ぬだろうと分って薬を飲んだ事になりそれを見定めていたバグリオーニが勝ち誇った様な声をジャコモに掛けるところで終わっている。結局バグリオーニもジャコモに嫉妬心を持ってたマッド・サイエンティストだったという事か、実に科学者と云うものは・・・。

 さて、アテナクラブの出典作はまだまだある。どれを読もうか?所持してるのや買いましたのがある(*^▽^*)。